ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
遠藤航が加入のシュツットガルト。
斬新な監督、ブッフバルトも参画?
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2019/09/30 11:15
ベルギーのシント・トロイデンからドイツ挑戦を決めた遠藤航。1部復帰の立役者となれるか。
試合前日に全員でハンドボール観戦。
奥川に話を聞いたら予感は的中。彼曰く、バルター監督の戦術は今まで出会ったことのないほどに斬新なもので、各選手が頻繁にエリアを跨いでポジションを入れ替えるのだそうです。
また守備の概念は非常に戦闘的で、攻守転換の際に相手ボールホルダーへ食らいつくゲーゲンプレスは必須。アンカーの選手がプレスを外されたら味方DFと相手FWが1対1の大ピンチになる状況でも「行け!」とばかりに突撃するのがチームコンセプトなのだそうで、ヒヤヒヤするけどエキサイティングを地でいく戦術に、奥川はとても好意的な印象を持っていました。
そんなバルター監督はチームの団結を重んじるタイプでもあるそうで、ある試合の前日にチーム全員で地元キールのハンドボールクラブの試合観戦を命じたこともあるそうです。奥川も「さすがに、試合前日ですよ……」と驚いていましたが、なるほど、なかなか特殊な指導方針を持つ監督だと思いました。
選手の動きには一定の法則が?
そんなバルター監督が率いる今季のVfBのゲームを観てみました。やっぱり、かなり斬新です。基本は4-4-2で、詳細に記すと4-1-3-2でしょうか。中盤はダイヤモンド型の様子ですが、アンカー以外の3人がひっきりなしに動くので正確なポジションを把握するのが難しい。
ただ、よく観察していると、選手の動きには一定の法則があるようです。それは誰かがポジションを逸脱したら、必ず誰かがそのエリアを補完するというもの。言葉で記すのは簡単なのですが、このタスクを流れの中で淀みなく実行するVfBは現在、ブンデスリーガ2部で5勝2分、勝ち点17を積み上げて首位に立ち、得点はリーグ3位タイの13得点、失点もリーグ4位の7失点。しっかりと結果を残しています。
さて、そんなバルター監督率いるVfBに今夏、正確に言うと8月13日、チームが第2節を消化した後に、日本代表MFの遠藤航がベルギー・ジュピラー・プロ・リーグのシント・トロイデンから期限付きで加入しました。
ただ、遠藤は第7節を終えた段階で未だ試合出場を果たせず、9月上旬の日本代表の活動を終えてチームへ再合流した第6節のレーゲンスブルク戦、第7節のグロイター・フュルト戦ではベンチ入りもできませんでした。