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横浜国際で蘇ったトルシエの怒り。
ラグビーの迫力は伝わっているか。
text by
金子達仁Tatsuhito Kaneko
photograph byGetty Images
posted2019/09/24 15:30
ラグビーW杯決勝の舞台となる横浜国際総合競技場。世界トップレベルの駆け引きや鍛え抜かれた肉体がぶつかり合う音は、しっかりと届いているだろうか。
ラグビーにとって重要な「迫力」
もっとも、カメラマン氏の感想は、ある意味、当然のことでもある。
ピッチサイドのすぐそばで仕事をする彼らは、ラグビーという競技が持ついくつかの魅力の中でも、トップクラスにランクされるものをダイレクトに感じることができる。
鍛え抜かれた肉体が激突する音、ラガーマンたちが漏らすうめき声──つまり迫力。
サッカーでは必ずしも「最高に重要な要素」ではないこともある、しかしラグビーにおいてはとびっきり重要な「迫力」という要素を、陸上トラックは激しくボヤけさせてしまう。
美しい星空をサングラスをかけたまま眺めるというか。最高のオペラを防寒用のイヤーウォーマーをつけたまま聞くというか……ええい、不適切であることを承知で言ってしまえば、オカモトさんの10枚重ねというか。
大会が始まってしまった以上、いまさらそんなことを言っても建設的ではない、と思われる方がいらっしゃるかもしれない。うん、一理はある。もし、この大会がキャッチコピー通り、「4年に一度じゃない。一生に一度だ」というのであれば。
だが、素晴らしくキャッチーでインパクトのあるコピーであることは認めるが、わたしは、「果たしてそうかな」との思いを捨てきれずにいる。
日本に専用スタジアムを。
4年後のこの大会はフランスで開催されることが決まっている。2007年以来、16年ぶり2度目の開催である。
16年後──もう一度日本というのは、ありえない話だろうか。
'19年から16年後ということは、'02年から33年後ということでもある。'06年のサッカー・ワールドカップが32年ぶりのドイツ開催だったことを思えば、これまた、ちょうどいいタイミングだともいえる。
そのときのために、きっと来ると個人的に信じるそのときのために、わたしは、いまからでも日本に専用スタジアムを求める声をより一層高めていくべきではないか、と思う。