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鹿島がアウェイゴール差でACL敗退。
土居聖真が悔いた「ただのいい試合」。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2019/09/19 11:50
アウェイゴールの差で広州恒大に敗れた鹿島アントラーズ。この経験は彼らをまたひとつ強くすることだろう。
「ただのいい試合で終わってしまった」
土居は、この試合をこんな表現で振り返る。
「今日の試合を総括すれば、『ただのいい試合で終わってしまった』と僕は感じている。FC東京戦もそうでしたが、今日も内容より結果がすべての試合だった。その共通意識みたいなのが、低かったのかもしれない。
考えすぎたのかなとは思います。アウェイゴールがあるからとか、何があるからとか。でも何点獲られようが、勝てばいい試合だと僕は思っていた。勝ちきらないと次には行けない。そのためにどういうプレーをしなくちゃいけないのかっていうところで、選手の判断力が無かった。そこをまだまだ学ぶべき試合だったかなと思います。
みんな勝ちたいという気持ちで戦ってはいたけれど、若さがでたと言われてもしかたがない部分はある。僕自身もボールが入らず、イラだつこともあった。そこは反省点。うまくいかないなりに、もっとやれることがあったかなと感じています。
精神的なところで、リスクを負わないプレーを選択していたのかもしれない。チャンレンジして、失敗しても次、次というのが今日はなかった。ここまでずっとそれができていたのに。
ただ、負けなかったというのが今日唯一のポジティブなこと。前半悪くても、後半建て直せた部分もある。そういう修正力はチーム力だと感じるけれど、まだまだダメなんだというのを突きけられた」
この結果に、どういう感情を持てるか。
国内で数多くのタイトルを手にしてきた鹿島にとって、ACLは鬼門だった。何シーズンも苦汁をなめさせられ続けてきた。そして昨季、ついに悲願のACL優勝を果たした。越えられなかった壁を越え、その頂点に立った。
ディフェンディングチャンピオンとして挑んだ今季は、「より難しさを感じたけれど、同時に自信も強く持っていた」と土居は振り返る。ACLでの苦闘を経験し、自らでそれを乗り越えたからこそ、経験値の乏しい若い選手への助言を求められた土居はきっぱりと言った。
「僕は、誰かに教わったとか、誰かに何かを言われて育ってきたわけじゃない。だからそこは、選手自身がどう感じるか、感じようとするかだと思う。
この結果を前にどういう感情を持てるかだと思うし、それをどう次へ繋げるかは選手それぞれの問題。それによって、次に同じ状況になったときに、勝てるか勝てないかの違いが出てくるんだと思います」