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ACL4強を決めた阿部勇樹の誇り。
「ここは埼玉スタジアムだから」
posted2019/09/18 17:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Getty Images
「アウェイゴール、大きかったですね」
試合終了後のミックスゾーン。誰もがそう感じたに違いない。
9月17日、ACL準々決勝セカンドレグ。ホームに上海上港を迎えた浦和レッズは、39分に興梠慎三が先制弾を決め、60分に失点したが1−1で試合を終えた。上海でのファーストレグで2−2だったアウェイゴールの差で、浦和の準決勝進出が決定した。
「試合には勝てなかったけれど、いっしょに次のラウンドへ進めた。その喜びを分かちあえた」と途中出場の阿部勇樹が語った。
出場機会が少なくなった今季、阿部のリーグ戦先発はわずか4試合。しかもそのすべての試合で敗れている。
直近のC大阪戦では、82分に2度目の警告で退場処分。その後浦和は失点し、この試合でも敗れている。
それだけにACL準決勝進出を決めたこの日は、与えられたタスクを達成できた、サポーターへの責任(ある種の約束)を果たしたという安堵感を味わっていたに違いない。
埼玉スタジアムでの上海上港戦。浦和の突破条件は、負けないこと。かつ1−1までのドローで試合を終わらせることだった。
4日前の反省と、阿部の意思統一。
4日前のC大阪戦、阿部の退場は確かにショッキングな出来事だったが、残り約10分で1−1という状況を考えれば、守って勝ち点1を拾う選択肢もあった。残留争いが見えてくるほど低迷している現状、勝ち点1の価値は小さくない。リスクを犯さず、守ることに重点を置くのだろうと思っていた。
しかし浦和は、あっという間に失点を喫した。チームとして「意思統一」ができていたかという疑問が残る試合だった。
そして、上海上港戦。60分に追いつかれたあと、大槻毅監督はまず78分にエヴェルトンに代えて柴戸海を投入。続く83分、関根貴大と交代で阿部をピッチへ送り出した。守備的MFも含めて、守備の選手がピッチ上で集まる。
「こういう展開になるというのはイメージしていた。ボールに対して誰が守備に行くかが曖昧になる危険性があったので、とにかく後ろからしゃべらなくちゃ、ダメだから」