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日本はあっさり、中国はこってり。
ACL鹿島戦で感じたテイストの違い。

posted2019/09/20 11:30

 
日本はあっさり、中国はこってり。ACL鹿島戦で感じたテイストの違い。<Number Web> photograph by Getty Images

決定的な一撃を放つなど、存在感を示したレオ・シルバ。しかし、鹿島は広州恒大に敗れ、ACL連覇を逃した。

text by

熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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Getty Images

 2試合合計1-1。アウェーゴールの差で広州恒大が鹿島を下したACL準々決勝第2戦は、最後の最後まで目を離せない好ゲームだった。

 この試合で興味深かったのが、日本と中国の“テイスト”の違い。ACLのような国際試合では、Jリーグでは気づかない日本人ならではのカラーがくっきりと浮かび上がる。

 そのテイストをひと言で表わすと、日本のサッカーはあっさり味ということ。

 日本、つまり鹿島があっさり風味に感じられたのは、対戦した広州のプレーがとてもこってりしていたからだ。このこってり感は、濃密、重厚、さらにはクセが強いといった言葉に置き換えてもいい。

 鹿島の選手たちが集団性を押し出し、軽快にパスをつなぐのに対し、広州は1人ひとりの個性が強く、ボールを持つことを恐れない。敵との接触を望んでいるのかと思えるほど、ボールを持つ。

収めるエウケソン、余裕のパク・チス。

 例えば最前線のエウケソンは、背後から強烈な圧力を受けながら堂々とボールを足下に収める。

 マークが厳しいペナルティアーク付近でも、ボールを収めるだけでなく、砕氷船のように強引に前に進み、ファウルを獲得する。

 広州は、ブラジル生まれのエウケソン、タリスカ、パウリーニョを、後方から中国人選手と韓国人が支える構成になっているが、中国人や韓国人も個性が強い。

 韓国人センターバックのパク・チスは潰し屋として優秀なだけではなく、押し込まれた状況でもハイボールを胸で落とし、しっかりと味方につなぐ落ち着きを見せた。ヘディングでクリアせず、胸でトラップする。こういうプレーは、プレッシャーを引き受ける胆力がなければできないものだ。あの闘莉王もよくやっていたプレーだ。

 また彼は終盤の厳しい時間帯でも、余裕を見せていた。味方がファウルを受けたリスタートのとき、ボールを蹴るふりをしてわざと空振り。これだけで目の前の敵を動かした。

【次ページ】 いい味を出していたガオ・リン。

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