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ヤングライオン達の日米逆転現象。
新日本プロレス道場、国境越えの産物。 

text by

原悦生

原悦生Essei Hara

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photograph byEssei Hara

posted2019/09/19 11:30

ヤングライオン達の日米逆転現象。新日本プロレス道場、国境越えの産物。<Number Web> photograph by Essei Hara

成田蓮(左/21歳)と海野翔太(22歳)は新日本プロレスの若手でも特に人気が高い次世代レスラー。

モクスリーにも気に入られた海野。

 22歳の海野は2度目の出場ということもあって、当然、優勝というテーマを自分に課している。

 海野は6月、大阪城ホールでジョン・モクスリーとシングルで戦った。海野はKOされたが、モクスリーに気に入られた。夏のG1クライマックスの間は、モクスリーと共に入場して、そのタッグパートナーとしても指名された。ビッグネームとの1カ月は海野に与えられた大きなギフトだっただろう。コナーズには逆エビ固めにギブアップ負けしてしまったが、同期のライバル成田をジャーマンスープレックスで押さえた。

 21歳の成田はいい感じだ。勢いをつけたフロントスープレックスが小気味いい。同期の海野には特別なライバル心を抱いている。サソリ固めも使う。海野に敗れた以外は着実に白星を重ねてリーグ戦トップを走っている。

 26歳の辻はいい体をしている。「ボストンクラブ(逆エビ固め)の辻」のイメージが定着し始めている。でも「もっともっとガンガン行けよ」とエールを送りたくなる。老婆心ながら、言わせてもらえば棚橋弘至の試合でセコンドについてマットを叩き続ける姿を、自分の試合にもっと反映してほしい。

 24歳の上村はどうだろう。鈴木みのるにいたぶられても、めげずに鈴木の前にまた立つ姿に、雑草のような強さを感じていた。上村はいい具合に筋肉がかなりついて胸板が厚くなった。ドロップキックもいい。ガリガリしていた頃のイメージは若き日の藤波辰巳(辰爾)だったが、今は変わって来た。試合には勝てなくても未来を感じ取ることができる。

 まるで'80年代のヤングライオンのように、相手にぶつかっていくLA道場のヤングライオンと、逆にちょっとアメリカナイズされてファンを意識する野毛道場のヤングライオン。日米のスピリットは実際にはそれほど変わらないのだろうが、戦い方が日米で真逆になったようなヤングライオンたちの姿を、優勝の行方とは別に私は楽しんでいる。

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