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<ホッケー選手が見るさくらジャパン>
宇野昌磨の弟・樹が語るみどころ。
「代表は、細かな技術レベルがすごいんです」
posted2019/09/20 11:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Yuki Suenaga
五輪種目の1つにホッケーがある。
1908年から五輪の正式種目に採用されている歴史ある競技だが(女子は1980年から)、日本ではまだマイナー種目の域を出られずにいる。
フィギュアスケーター宇野昌磨の弟・宇野樹は、中学入学時にホッケーに魅せられて足を踏み入れ、高校3年生の今日まで打ち込んできた。
もともとアイスホッケーをしていた宇野は、ホッケーとの出会いをこう語る。
「入った中学にホッケー部があったんです。最初はなんとなく興味を持って入りました」
特に大きな理由があったわけではない。しかし、そこに待っていたのは、今までにない魅力ある世界だった。
「スポーツはずっと氷の上で過ごしていたので、まずは陸上でのスポーツということが新鮮でした」
取り組んでいくうちに、樹はホッケーという競技の魅力を次々に発見し、技術の奥深さに触れることになる。まず、他の競技と最も異なるのは、ホッケーがスティックという道具を使う競技だということだ。それゆえ、基礎的な技術の重要度が非常に高い。
「ホッケーでいちばん難しいのは、簡単に見えるボールを『止める』ことなんです。少しでも弾いたら相手チームに取られてしまうし、止め方がちょっとでもずれたら、ボールは後ろや左右、いろいろな方向に飛んでいってしまう。相当慣れないと止められないんです。少しでも浮いたりすると、さらにコントロールが難しくなる。サッカーとかだと、攻められないときは後ろでボールをまわしてチャンスを待つじゃないですか。でもホッケーであれをやると、高校生とかだとミスが出てしまいます」