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浦和、ACLアウェイで貴重な2-2。
槙野「難しい」、興梠「出来すぎ」。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2019/08/28 15:00
興梠慎三の2点目は、大きな大きなアウェイゴールでもあった。ホームでの第2戦、声援を力にすることができるか。
槙野の先制、興梠の2点目。
8月27日上海。上海上港との試合は、浦和のキックオフで試合は始まった。浦和がACLで優勝した2017年にも、準決勝で同じカードがあった。
浦和はDFラインを高く保ちながらボールを持って仕掛け、3分時点で2本目のFKを得る攻勢。キッカーは長澤。
「フッキが僕のマークにつくのはわかっていたので、ファーに流れれば外せると考えていた。その狙い通りすばらしいボールが来た」と語る槙野が、ゴールキーパーが弾いたこぼれ球をゴールへ蹴りこみ、先制点が決まる。そして30分には、今度は興梠慎三が決めて2-0とリードする。3点目のチャンスもあったが、そのまま前半は終了。
そして後半、3バックから4バックへシステムを変更した上海上港は、いきなりギアを上げた。というより、前半はあまりに迫力に欠けていた。
上海上港は49分にPKで1点を返した後も、その勢いが止まらない。浦和はクリアがやっとという状態で、そのボールすら相手に渡ってしまう苦しい時間が続く。71分に再びPKを与え、フッキに再び決められて同点に追いつかれた。
その後上海上港は失点を懸念したのか、前線の選手もDFラインまで戻るようになり、攻撃はペースダウン。しかし浦和は戦い方の統一感を取り戻せず、不用意なショートパスからボールをロストしてカウンターを受けるピンチもあった。
80分以降は浦和も「このまま試合を終わらせよう」という方針を選び、試合は2-2のままで終了した。
槙野「もったいないところだった」
先制点を決めた槙野は、こう試合を振り返った。
「珍しく、中国のアウェイでは早い時間帯に点を獲れた。これまでACLでのアウェイの難しさは知っているが、今日はいい入りができ、いい形でアウェイゴールが獲れたのは非常に良かった。
でもそれはある意味、想定外でもあった。後半開始早々に不運な形で失点して、チームに動揺や焦りが生まれて受け身になってしまったところもある。だから、前半と後半とで別のチームになり、違うゲーム展開になってしまった。そこは反省しなくちゃいけないところ。
ただ、相手も2点目を獲ってしばらく経つと、引いて落ち着いてしまった。そこで、もう1点獲りに行くのか、このままでいいのかという部分で、はっきりしたゲームプランを正直なところ僕たちは持っていなかった。何人かの選手は点を獲りに行く姿勢があっただろうし、何人かは無理には攻めずにボールを保持していたいと考えていたと思います。そこでの意思統一が図れず、危険なカウンターを受けてしまう場面があったのは、非常にもったいないところだった。
80分過ぎに相手選手が負傷してゲームが止まったとき、ベンチまで行って、監督に『どうしますか』と確認し、『もう点は取りに行かなくていいから、ボールを握ってほしい』という指示を受け、それを選手全員に伝えた」