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麹町中が3年間で育てる「当事者性」。
運動会の伝統をやめた感動的な経緯。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byHideki Sugiyama

posted2019/08/20 08:00

麹町中が3年間で育てる「当事者性」。運動会の伝統をやめた感動的な経緯。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

東京では私立全盛の中学受験ブームが続くが、公立の麹町中学を第1志望とする子供も着実に増えている。

3年間でできた「出る杭を打たない」空気。

 そして彼はこんな言葉を残している。

「生徒会活動の時も、自分がどう見られているのか、周りの目を意識してしまっていました。目立つこと、それは少し悪いことだと思い込んでいたのです。『出る杭は打たれる』と思っていました」

 しかし彼は自由に活動ができたという。なぜなら……。

「出る杭を打たない学年だったからです」

 部活動、甲子園のあり方が問われている時代、工藤校長が何度も口にした「最上位概念」を考えることは様々な問題の突破口になるはずだ。

 教育現場で「出る杭を打たない学年」が実際に生まれたのだから。工藤校長は言う。

「これからは、教育現場と民間が手を取り、オールジャパンで上位目標の合意形成をしていく時代になります。対話を繰り返していけば、上位目標は決められます。日本は、それをないがしろにしてきたとしか思えません。対話の中では、自分の自由も大切だし、人の自由を認めることも大事です。全員が"OK"になる仕組みを作り、対話を繰り返していけば、日本の教育も変わるはずです」

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