野球善哉BACK NUMBER
スーパープレーの高岡商2年生が、
4人の先輩に学んだ「意思」の力。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/08/17 15:00
応援団に挨拶する敗れた高岡商ナイン。背番号7が好守を見せた藤井。
「藤井が5番に座ってくれたのは大きかった」
その中で藤井の存在は重要なポイントを握っていた。
監督の吉田真はいう。
「1番から4番までは経験者がいましたから、そのあとに続く5、6番の打者をどう育成するか、できれば右バッターがいいということで探してきました。その中で藤井が出てきてくれました。もともとはキャッチャーで入部してきた選手なのですが、打力がいいということで外野に回ってもらいました。藤井が5番に座ってくれたのは大きかったです」
1~4番が機能するだけでなく、主力を下支えする選手たちがチーム力を後押ししていく。日本一を本気で狙っていたチームにとって藤井のような選手の存在こそ、必要だったわけである。
勝つために何が必要かを意識してプレー。
藤井が日頃から意識してきたのは実戦を想定したバッティングだった。
「僕は勝負強い打撃を目指してきました。だから、普段のフリーバッティングから1球も無駄にしないように心がけてきました。常に実戦を意識して、低いライナーを打つ。その意識で練習してきた」
高岡商の今年の戦いぶりで光っていたのはメリハリのついたプレーだ。試合で勝つために何が必要かを意識してプレーしているのがわかるのだ。個々人がなすべきことを理解している。
例えば、右サイドスローのエース・荒井大地が低めを丹念についた投球を続ければ、バックを守る野手たちは、確実に取れるアウトをしっかりと取るプレーに徹する。2回戦の神村学園戦の8回、三塁線に抜けようとした当たりを三塁手の井林が飛びついてキャッチすると、大遠投をせずに低いボールを一塁に転送してアウトにするというシーンがあった。