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大阪桐蔭、たった1人の優勝旗返還。
届かなかった甲子園と、最後の意地。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKyodo News

posted2019/08/17 11:50

大阪桐蔭、たった1人の優勝旗返還。届かなかった甲子園と、最後の意地。<Number Web> photograph by Kyodo News

開会式、大阪桐蔭のキャプテン中野波来は優勝旗を返還するために1人、甲子園の土を踏んだ。

昨夏ベンチ入りしたのは2人だけ。

 一方で、今年の3年生の中で昨夏の甲子園でベンチ入りしていたのは、中野と宮本涼太だけ。2人とも控えだった。

 夏の甲子園を最後まで戦ったため、新チームの始動は遅れた。昨秋の近畿地区大会、大阪府大会は、それでも決勝まで勝ち上がったが、決勝で履正社に敗れて準優勝。その後の近畿大会では準々決勝で智弁和歌山に敗れ、今年のセンバツ出場はかなわず、春3連覇の夢は消えた。今春の大阪大会は、5回戦で敗退した。

 7月、夏の大阪大会が開幕しても、試合ごとにスターティングメンバーが変わった。西谷監督は、「その時の状態のいい者でいく」と話し、主将の中野が先発を外れることもあった。

 特に2年生が並ぶクリーンナップは日替わりだった。3番・西野力矢は変わらなかったが、初戦となった2回戦の東淀川戦は、4番・吉安遼哉、5番・仲三河優太。3回戦の早稲田摂陵戦は4番・船曳烈士、5番・吉安。4回戦の大冠戦は4番・仲三河、5番・吉安と移り変わった。

例年にないほど西谷監督も悩んでいた。

 大冠戦のあと、西谷監督はこう話した。

「仲三河は朝のバッティングの調子がよかったので、真ん中で行こうかなと。(4番起用は)たぶん初めてじゃないですか。練習試合でもあまり使っていないので。今年は、『どの並びにしたらいいかな』と非常に考えます。

 朝、グラウンドでのバッティングを見て、移動中のバスの中で考えて、球場に着いてからもなかなか決められなくて、誰にしようかなと悩んでいました」

 21年の監督歴の中でも、これほど試合直前までオーダーに悩む年は「珍しい。あまり記憶にないですね」と言う。

「9人の中で(打順を)迷うことは結構ありますけど、今年は13、14人ぐらいの中から考えていますから」

【次ページ】 昨年のチームと違うことを受け入れて。

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