甲子園の風BACK NUMBER
成績優秀、品行方正――。
智弁和歌山の応援団ができるまで。
posted2019/08/17 07:30
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph by
Yukiko Umetsu
智弁和歌山のアルプススタンドを眺めていると、巨大な「C」の人文字に、「いけいけ根来! おせおせ智弁!」「打って 打って 打ちまくれー!」など、見事な光景が目に飛び込んでくる。全校生徒の大声援によるテンポのいい掛け声といい、絶妙な間の取り方といい、応援としてのパッケージングが素晴らしいと、観戦するたびに感じてしまう。
この完成度の高い応援をリードするのが、胸に大きく「智弁」と書かれた赤いポロシャツにハチマキ、白い手袋で「かっせ かっせ 智弁!」と力強くエールを送る24人の応援団と、黄色いポンポンを持ち、「智弁ファイッ!」とキレのある踊りを披露する、24人の華やかなチアリーディングだ。
実はこの応援団とチアは、部活動ではなく期末試験が終わると結成される生徒会の組織のひとつ。彼ら彼女らが、和歌山県大会から甲子園まで続けて活動しているのである。
「成績優秀」かつ「品行方正」な生徒のみ!
応援団とチアの活動をするための応募資格は「成績優秀」かつ「品行方正」であること。
つまり、赤点があると応募できない。
「品行方正」に関しては、さまざまな先生が日頃から授業の様子や生活態度などをチェックしているといい、いわば――学校の模範生でないと選ばれないということだ。
特にチアは人気が高く、倍率は約5倍。1学年約250人中、毎年40~50人がその資格を得た上で応募するという。応募できた者の中からさらに正式メンバーになるには、平等にくじで決められるため、はずれるとショックのあまり号泣する生徒もいるのだという。
今年リーダーを務めるのは、小学校から智弁和歌山に通う白岩歩さん(2年)。甲子園の応援は中学生から参加するとのことで、「中1の頃からずっとチアに憧れていた」といい、「模範的な生徒であることの自覚を持って、勉強をがんばるのはもちろん、日頃から挨拶や生活態度にも気をつけています」と話す。