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大阪桐蔭、たった1人の優勝旗返還。
届かなかった甲子園と、最後の意地。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKyodo News

posted2019/08/17 11:50

大阪桐蔭、たった1人の優勝旗返還。届かなかった甲子園と、最後の意地。<Number Web> photograph by Kyodo News

開会式、大阪桐蔭のキャプテン中野波来は優勝旗を返還するために1人、甲子園の土を踏んだ。

「やっぱり大阪桐蔭やな」

 遅咲きのチームがやっと、目覚めたところだった。その先には果てしない伸びしろがあったはず。それだけに、中野主将は、「チームはいい状態で上がっていっているところだった。まだうまくなっている状態だったので、勝ちきって、次の試合につなげたかった」と悔やんだ。

 それでも敗戦のあと、昨年の3年生たちからは、「秋は不安定なチームやったけど、さすが、ここまで仕上げてきたのは、やっぱり大阪桐蔭やな」という言葉をもらった。

 前主将の中川からは、こう伝えられた。

「お疲れさん。自分たちの代を継いでくれてありがとう。最後、優勝旗返還まであるんで、そこは最後の自分の仕事やと思って、やってくれ」

 8月6日、中野は胸を張って、今年の49代表校の前を、1人で行進した。

「1、2年生に、来年、この旗を取り返してほしい」

 そう念じながら。

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