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クラブ史上最高額で加入のルカクは
インテルをいかに進化させるのか?
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph byGetty Images
posted2019/08/19 11:30
新たにコンテ監督が率いるインテルに加入したロメル・ルカク。改革の重要なキーマンとなるのは間違いない。
コンテのサッカーに不可欠な大型FW。
そんなルカクの加入は、インテルにどんな変化をもたらすのか。
インテルはこれまでのエースストライカーだったマウロ・イカルディの背番号を引き剥がし、9番を背負わせることを決定している。一方、イタリア国内でファンやサッカー関係者の反応を見ると、期待と懐疑論が半々で存在しているといった印象だ。
期待する声のひとつは、コンテ監督の戦術には合っているのではないかという意見。元インテルDFでテレビ解説者を務めるフランチェスコ・コロンネーゼ氏がいうように、「ルカクにはフィジカルもあるし、足元の技術もある。コンテのサッカーには適しているはずだ」という見方を示す向きは多い。
コンテはこれまで、大型のセンターフォワードを重用してきた監督でもある。3連覇を達成したユベントス時代はフェルナンド・ジョレンテに信頼を置き、「史上最低の戦力」といわれたイタリア代表監督時代には、グラッツィアーノ・ペッレを柱に据えて一定の結果を出していた。コンテ監督のサッカーは、最後尾のディフェンスラインから縦にパスを送った速攻を重視する。前線でパスの的になる大型のセンターフォワードは、いわば戦術上不可欠の存在なのだ。
走力があり、チャンスメイクも上手い。
ただルカクは、ジョレンテやペッレらとは若干タイプが違う。
エリア内には居座らず、前後左右に動くことを好む。マーカーを背負いながらパスをもらい、ボールを捌くポストプレーはそれほど上手くないという評価もある。
ただし一方で、普通の大型FWが持ち合わせていない走力があり、動いてパスを引き出し、自ら前線にボールを運んでいくこともできる。チャンスメイクも上手く、アシストも一定数記録した。
前線での守備もこなすところなどを見れば、組織プレーを重んじるコンテ監督が好きそうな選手だというのはやはり容易に想像がつく。