ビッグマッチ・インサイドBACK NUMBER
開幕戦圧勝のマンU、急激な若返り。
102億円DFにギグスも驚いた韋駄天。
text by
寺沢薫Kaoru Terasawa
photograph byGetty Images
posted2019/08/16 11:40
レスターを経て赤い悪魔の一員となったマグワイア。ユナイテッド再建の主役となれるか。
モウリーニョは「岩」にたとえた。
「マグワイアは本当に強かったし、安定していた。空中戦はすべて勝っていたし、移籍金の額や移籍後最初のビッグマッチというのも関係なく、レスターやイングランド代表の時と何ら変わらなかった。彼は本当にいい気質を持っている。
ただ仕事をするだけでなく、チーム全体を強くする“触媒”になってくれるだろう。私が一緒にプレーした偉大なセンターバックは、自分のプレーをするだけでなく、他の選手たちにいい影響を与えたものだ。リバプールで今、ビルヒル・ファンダイクがやっているようにね」
そう語ったのは、クラブOBのギャリー・ネビル。またそのG・ネビルと並んで今季から『スカイスポーツ』の解説を務めることになったジョゼ・モウリーニョも試合後、マグワイアについてこうコメントした。
「まるで岩のように堅かった。戦術的な知識だけでなく、試合を読むこと、常に警戒すること、自信を持ってプレーできることといった“パーソナリティ”を持った選手がチームにいることは非常に重要なんだ。彼は完全に賞(マン・オブ・ザ・マッチ)に相応しかったね」
G・ネビルが「チーム全体を強くする“触媒”」という言い方をしたが、モウリーニョもまた、マグワイアのような選手がチーム全体の自信を強化すると持論を述べる。
「守備においては、近くの選手がミスをするかも、と感じると自信が失われていいプレーができなくなる。しっかりプレーしてくれる選手が周りにいれば、周りの自信もより増すものだ」
前の選手も躊躇なくボールを受ける。
実際、オーレ・グンナー・スールシャール監督がすでに「リーダーだ」というマグワイアは、守備だけでなく攻撃の選手にも好影響を与えていた。チェルシーがハイプレスを仕掛けてきた中でも常に落ち着いてプレーし、自陣での横パスだけでなく、自信を持ってボールを前に運び、チーム全体を前に押し上げた。
よくセンターバックからボールを受けていたのがポグバだったが、「後ろでボールを奪われたら……」と心配する必要がなく、自分がもらいたい場所でボールを受けることができていた。ポグバが余裕を持ってボールを持てると、その後のカウンターの発動もスムーズだ。
ラッシュフォード、マルシャル、ペレイラ、ジェシー・リンガードらは思い切りよく前方に走り出し、ポグバからのパスを受けて何度もチェルシーのゴールに迫った。前にいる選手たちのポジショニングや、躊躇なくボールを受けにいこうとする姿勢を見ると、マグワイアがすでにポゼッションにおいても周囲の信頼を得ているのはよくわかった。