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夏の甲子園・史上最強校はどこか?
歴代優勝校をデータで比較する。
posted2019/08/19 07:00
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph by
BUNGEISHUNJU
その答えを知るために、Number785号(2011年8月25日発売)では、歴代優勝校を得失点差でランキングしました。
この年は3月に東日本大震災があり、福島県大会などに大きな影響が出ました。甲子園で優勝したのは日大三。花巻東の2年生だった大谷翔平も出場していました。
そんな8年前、どの高校が「最強」と認定されたのか、振り返るのも一興ではないでしょうか。
1978年から2010年までのデータをもとに作られたランキングと全文を公開します。
ぜひお楽しみください。
甲子園史上の最強のチームはどのチームか。これは野球ファンなら一度は考えたことのあるテーマではないだろうか。
このようなテーマは、正解のない問いかけだからこそ、ファンの1人1人に独自の答が あって面白くなる。それでも、ある程度の客観性をもって考えてみるには、やはりデータの面から見ていく他なさそうだ。
夏の全国高校野球選手権は1915年から行なわれているが、会場が甲子園になった第10回大会も、出場は19校だった。この時は、甲子園で4回勝てば優勝することができた。
その後出場校は増え続け、現在の全国49代表になったのは1978(昭和53)年のことだ。49代表の場合、優勝するには5試合か、または6試合を勝つ必要がある。基本的に4試合で優勝できた戦前の大会と、5試合以上勝たなければ優勝できない'78年以降の大会を、同じ土俵で扱うことはやはり無理があるだろう。そこで、ここでは、出場校数が49代表となった'78年以降だけを対象として考えたい。
強さは基本的に得失点差に反映される。
「最強」を判断するための、基準となるデータは何か。1つには得失点差が重要なポイントになる。野球の試合は「より多く得点して、より少なく失点を抑える」ことを目指しているわけだから、チームの強さは、基本的に得失点差に反映される。まずはこの点から、'78年以降の優勝校を見てみたい。
表は、優勝校33校の中で、甲子園における1試合平均の得失点差が5.0以上のチームをピックアップして、ランクづけしたものである。これがちょうど10チームある。
1位は'85年のPL学園、2位は'08年の大阪桐蔭、3位が'10年の興南だ。この3校が、1試合平均で得失点差6.0を超えていて、このデータにおける「ビッグ3」である。「やまびこ打線」で初優勝を遂げた'82年の池田などは、猛打で圧勝したイメージだが、得失点差で見ると4.83でそれほど高くない。