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中島翔哉に前田、安西に権田……。
ポルトガル日本人勢、開幕前の序列。
posted2019/08/09 17:30
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Daisuke Nakashima
2010年にMF香川真司がドルトムントで大活躍してから、ドイツのサッカー関係者の日本サッカーへの評価が高まり、以後、ブンデスリーガでプレーする日本人選手が急増した。
これと似た現象が、今、ポルトガルで起きつつある。
2017年8月、当時は日本国内でもまだ有望株扱いだったFW中島翔哉がFC東京からポルティモネンセへ移籍(最初は期限付き)し、リーグ戦で29試合に出場して10得点12アシストと大ブレイクした。
今年1月に元日本代表GK権田修一(鳥栖)がポルティモネンセへ移籍すると、7月にはSB安西幸輝(鹿島)とFW菅嶋弘希(東京V)もポルティモネンセへ。そして、コパ・アメリカに出場したFW前田大然(松本山雅)が1年間の期限付きでマリティモに加わった。
そして中島は、今年2月、3500万ユーロ(約43億円)という日本サッカー史上最高の移籍金でアル・ドゥハイル(カタール)へ移ったが、コパ・アメリカ終了後の7月、欧州の数クラブによる激しい争奪戦の末、ポルトガルを代表する名門ポルトへ移籍した。現在、ポルトガル1部のトップチームだけで5人の日本人選手が在籍している。
中島がポルトガルに与えた衝撃。
これまでにも、この欧州最西端の国でプレーした日本人選手はいた。いずれも日本代表招集歴があるFW金崎夢生(現鳥栖)が2013年から2シーズンあまりポルティモネンセ(当時2部)で、FW田中順也(現神戸)がスポルティングで2014年から2016年までプレーした。
しかしながら、この国のサッカー関係者に大きなインパクトを与えることはできなかった。そのような状況を、中島が劇的に変えたのだ。
ポルトガルリーグのレベルは、欧州でイングランド、スペイン、ドイツ、フランス、イタリアに次いで6番目くらいか。
一方で代表はワールドカップで1966年に3位、2006年に4位に食い込んでおり、2016年に欧州選手権を初制覇し、昨シーズン創設された欧州ネーションズリーグで、初代王者となるなど勢いに乗る。そして選手では、FWエウゼビオ、MFルイス・フィーゴ、FWクリスティアーノ・ロナウド(現ユベントス)ら世界サッカー史上に燦然と輝くスーパースターを輩出した。
人口が1000万人余りの小国であることを考えると、これらのすべてが奇跡に近い。