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唯一のゴールは五輪での「金メダル」。
さくらジャパン監督が目指すもの。

posted2019/08/21 12:00

 
唯一のゴールは五輪での「金メダル」。さくらジャパン監督が目指すもの。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

女子ホッケー監督のアンソニー・ファリーは「金メダルが獲れる」と断言。

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Hideki Sugiyama

 いま、ホッケー女子日本代表は、大きな変革を遂げている。

 2018年のアジア大会では初めての金メダルを獲得し、世界の強豪国とも互角の勝負を見せるようになった。

 そのきっかけとなったのは、2017年6月にオーストラリア出身のアンソニー・ファリー監督が就任したことだった。

 ファリー監督はリオデジャネイロ・オリンピックで、カナダ男子代表を2大会ぶりに出場に導いたことで分かるように「再建」を得意とする指導者だ。日本にやってきた理由を尋ねると、力強い言葉が返ってきた。

「金メダルを取れる。そう確信したからです」

 監督が日本の状況を分析した時に、実業団レベルでは優れたクラブ、選手がおり、大きなポテンシャルを感じていたという。

選手のマインドセットを大きく変えた。

 変えなければいけないのは、選手たちの「マインドセット」だった。

「選手たちには世界で勝つというイメージがなかったようです。練習、そして試合を通じて世界と戦えるマインドセットを植えつけることが私の仕事でした」

 ただし、ハードランディングは好まず、まずは選手間のコミュニケーションのスタイルを変えた。

 同世代の「横」のつながりが強かった代表だったが、ポジション内での「縦」のつながりの機会を多く作った。たとえば、ミーティングではこんな宿題が出される。

「メンバーと話して、その相手について新しく知った3つのことをみんなの前で発表してください」

 先輩、後輩の関係性はベースにありながらも、フラットな回路を作った。これで風通しが良くなり、練習での会話も活性化した。

 そして試合の映像分析を選手たちに任せた。

「これまではスタッフがやっていました。諸外国もそうでしょう。しかし、私は選手たち自身が振り返り、なぜミスが起きたのか、徹底的に向き合って欲しかったのです」

 反省に妥協は許されず、選手たちは自ら変わろうとし始めた。

【次ページ】 「アンソニー」と呼ばれるほどの距離感。

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