プロ野球亭日乗BACK NUMBER
佐々木朗希の登板回避が示すこと。
球数制限と日程変更は絶対に必要。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byAsami Enomoto
posted2019/07/26 16:30
準決勝では完封勝利を挙げた佐々木朗希。その翌日が決勝でなければ……。
球数制限は予選から絶対に必要。
佐々木の194球でクローズアップされるべきは球数制限だ。あの国保監督ですら佐々木に194球を投げさせたという事実は、逆にどれだけ監督にとって一発勝負で好投している投手をマウンドから下ろすことが難しいかを示すものでもあった。
100球なら100球とルールで決めれば、盛岡四戦で佐々木は107球を投げた7回の時点で降板している。それで大船渡が勝ったかどうかは分からないが、監督は代えざるを得ないし、そういう想定で試合をマネジメントできる。
盛岡四戦でいえば、確かに勝つためにはあの状況で佐々木を代えることは難しい。しかしだからといってケガのリスクを承知で投げさせていいのか、ということだ。
もしルールさえ決まっていれば、監督が交代機で迷う必要もなく、苦しい決断を強いられることもない。何より確実に選手がダメージを負うリスクは軽減されることになる。
そのためには球数制限は予選から絶対に必要なのである。
大船渡、花巻東ともに厳しい日程。
もう1つ、改善の余地があるのは決勝戦でエース登板を回避させた日程だ。
夏の大会は多くの県予選が7月の上旬から始まる。6月末から7月頭は学校の1学期の期末試験期間で、試験が終わるでは学業に専念させるというのが理由だ。だから予選開始はほとんどの県で7月第2週前後までずれ込む訳である。
そこから1回戦が始まり20日過ぎから月末までの間に続々と各県の代表校が決まっていく。その間、ほぼ最低でも5試合から6試合を勝ち進まないと甲子園切符は手にできないというのが現実だ。
半月前後の間で5試合とすると平均しても3日に1戦、現実的には準々決勝くらいからは連戦や中1日というスケジュールで3、4試合をこなしていかなければならない。
佐々木の大船渡も準決勝から5日間で4試合のスケジュールが組まれた。また、優勝した花巻東も6日間で4試合である。