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異彩の2番・筒香嘉智が誕生の理由。
最強打者説と出塁率、DH制なし。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/07/20 08:00
「日本の4番」とも称される筒香嘉智が2番を打つ。ラミレス監督の起用法はまたも興味深い。
9番に野手を置く打順も復活。
DH制度のないセ・リーグでの筒香の2番起用は、実はスラッガーの得点創出能力を最大限に生かすというメジャー流の「2番最強打者論」ともちょっと違う。筒香の役割を出塁率のみに特化した起用になってしまっているのだ。
ラミレス監督はその点をカバーするために7月17日の広島戦から、投手を8番に置いて9番に野手を入れる昨年まで定番のオーダー編成にも着手した。
これなら2番の前に2人の野手がいて、DH制度があるのと同じシチュエーションを作り出すこともできるという訳だ。
ただ、その一方で今季は投手の前を打つ伊藤光捕手や大和内野手らが、それなりに結果を残している。それをあえて分断して投手を挟む下位打線にメリットがあるのか。マイナスが多いという意見で今季は通常の9番・投手に戻したはずでもある。
ラミレス監督が考える筒香の起用法。
「自分がアメリカでプレーしていた頃は2番は左バッターが多かったと思うが、ここ数年はアメリカの野球も変わり進化もしている。日本の野球もそれにつられて変わってきている部分もある」
今回の筒香の2番起用をこう語ったラミレス監督。筒香をどう生かすかが、後半戦のチームの命運を握るカギであることは指揮官も認識しているはずである。
当初、語っていたように「モチベーションを上げる」ための一時的な措置なのか。それとも、後半戦の巨人追撃の勝負手としての起用なのか。「2番・筒香」は結果を残しているが、長期的に「4番・筒香」のいない打線がどんな影響を及ぼすかである。
DeNAのポストシーズン進出は、筒香の処遇とそれに応えるバットにかかっている。