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異彩の2番・筒香嘉智が誕生の理由。
最強打者説と出塁率、DH制なし。
posted2019/07/20 08:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kiichi Matsumoto
メジャー流の「2番最強打者論」が、またクローズアップされている。
きっかけはDeNAの主砲・筒香嘉智外野手だ。
筒香はオールスター明け、7月15日の広島戦から2番に起用され、翌16日の試合では6、7回と2度の4得点の起点となる活躍。また17日の試合でも4回の左前安打からの逆転劇と「2番・筒香」からの得点で広島に2勝1敗と勝ち越した。
今季は巨人が同じように2番に坂本勇人内野手を起用した「攻撃的2番打者」で成功を収めている。ポイントは「2番」の“つなぎ”――送りバントや進塁打――を重視しない戦術選択だ。
1番が出塁したら安打、あわよくば長打で相手投手を攻略する。それだけ2番打者の打撃能力が問われるが、坂本は28本塁打(7月18日現在)を放ってホームランダービートップを走り、それがそのまま今季の巨人の強さにもつながっている。
スラッガーの筒香が2番という異彩。
2番の“つなぎ”を重視しないという点では、中日の大島洋平外野手やロッテの鈴木大地内野手も、この「攻撃型2番打者」の範疇に入る。また開幕時にはヤクルトの青木宣親外野手が「2番」を任され、日本ハムの長打力があって足も速い大田泰示外野手も攻撃型の2番打者だろう。
ただこうした中で筒香が異彩を放つのは、坂本や大島らとは全くタイプが違う長距離砲という位置づけの打者だからだ。
「モチベーションを上げるためにも打順を上げようかと思っています」
DeNAのアレックス・ラミレス監督が筒香をプロ初の2番に起用する構想を明らかにしたのは7月14日のことだった。
理由は得点圏での打撃と出塁率だった。