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異彩の2番・筒香嘉智が誕生の理由。
最強打者説と出塁率、DH制なし。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2019/07/20 08:00

異彩の2番・筒香嘉智が誕生の理由。最強打者説と出塁率、DH制なし。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

「日本の4番」とも称される筒香嘉智が2番を打つ。ラミレス監督の起用法はまたも興味深い。

坂本や大島らはスピードがあるが。

 4番で78試合に出場した前半戦で、筒香の得点圏打率は2割3分4厘(7月18日時点では2割4分6厘)とリーグ20位(同21位)。一方で出塁率4割5厘(同4割1分4厘)はリーグ4位(同3位)の数字を残している。

「2番に置けば得点圏で打席に立つ機会は減る。3番では4番との変化はあまりないので特長を生かす意味では2番がいいのではないかと思う」

 ただこの時点で、筒香と入れ替わって2番から3番に入ったネフタリ・ソト内野手の得点圏打率も2割1分1厘とむしろ低かった。4番を打つホセ・ロペス内野手も2割7分5厘と特にチャンスで強いわけでもなかった。

 何より坂本や大島ら他の「攻撃的2番打者」の多くはスピードがあり、クリーンアップにつなげるために盗塁など攻撃の選択肢があるが、筒香にはそれはない。筒香を2番に配置転換するのは、それこそ気分を変えるというぐらいしか理由が見つからないのである。

2番打者最強論、その効用。

 そこで出てくるのがメジャーの「2番最強打者論」だった。

 メジャーではチームの最強打者を「2番」に据えるのがトレンドと言われ、確かに間違いではない。筆者も坂本の起用を巡って、このトレンドを紹介し、効用も伝えてきた。

「2番最強打者論」は統計学的には長打力のあるスラッガー(最強打者)にできるだけ多くの打席を回すことで得点効率を上げる、という視点で生まれたものだった。

 そこでメジャーではかつての4番打者を3番に置き、そこから一気に1番に起用するという試みもあった。1番と4番ではシーズンで30打席前後の打席数の差が出るというデータもあり、本塁打数で3本から5本近くの差が出るわけだ。

 ただそうした本塁打を打てる打者を1番に起用すると、第1打席でアーチをかけてもソロで終わってしまう。ならば効率も考えて1番に出塁率の高い打者を置き、「最強打者」を2番に置く。

 本塁打なら一挙に2点、長打でも1点が入るか、それとも無死二、三塁という得点場面を初回から作り出し、試合の主導権を握れる。

 これが基本的な考えだ。

【次ページ】 メジャーでは原点回帰の打順に。

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