【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
八村塁とジョーダンブランドの契約。
「競技以外の個性」が人生を変える。
posted2019/07/13 11:45
text by
池田純Jun Ikeda
photograph by
Getty Images
日本人初のNBAドラフト1巡目でウィザーズに入った八村塁選手が、早速活躍しています。
彼が素晴らしいポテンシャルを持ったバスケットボール選手であることはもちろんですが、私はそれ以上に、21歳にして「生き様」の元になる個性を持っていることに感動しました。
「生き様」という言葉がマイナスの意味を持っていた時期があるのは承知していますが、だいぶ定着した表現だと思うので、今回はそのまま使おうと思います。
八村選手の話に戻りましょう。
私が驚いたのはドラフト1巡目指名以上に、ジョーダンブランドとの契約です。日本では「バスケット選手としての将来性を評価された」という文脈で報道されていますが、それは物事の半分しか捉えていないのではないかと思います。
ブランドとしての期待値の高さ。
ナイキ以上に少数精鋭のジョーダンブランドが八村選手をなぜ選んだかと考えれば、彼の生き方がかっこよくて、ファッショナブルだからでしょう。“ブランド”として顧客から評価されうる要素やストーリーを保有し、今後もそれを築き続けるという期待値が高く評価されたのだと思います。
ドラフト指名を待っている時の、ブルーのシャツに大きめの蝶ネクタイ、さらにエンジというかパープルのまだら模様のジャケットは印象的過ぎでしたし、記者会見でのチェックのジャケットにドットのネクタイも、ストライプのポロシャツをぴっちり上までボタンしめた上につけたネックレスも、登場する度にファッションに注目してしまいますよね。
日本のプロ野球の入団会見に、あんな個性的なファッションで出てくる選手はいません。いたとしても内部でバッシングに遭うのが目に見えています。
八村選手が持つ日本人初のNBAドラフト1巡目というストーリーや、あの場所にあの服装を選ぶセンス、価値観、そういうものがジョーダンブランドとの契約につながったのだと思います。