【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER

八村塁とジョーダンブランドの契約。
「競技以外の個性」が人生を変える。 

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池田純

池田純Jun Ikeda

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posted2019/07/13 11:45

八村塁とジョーダンブランドの契約。「競技以外の個性」が人生を変える。<Number Web> photograph by Getty Images

サマーリーグの1試合ごとの結果が報じられるなど、早くも日本でフィーバーの八村塁。

アスリートと経営者の関係も変わる。

 アスリートと経営者の関係性はこれまで、経営者やその企業がお金を出して、アスリートがその対価として自分の人気を切り売りする形の広告塔が主流でした。そうではなく、お互いに自分が持つ能力、資金、ストーリーを出し合って一緒にビジネスを作るのです。

 CM広告契約で一番お金が動くのではなく、パートナー契約で大きなお金が動く時代になっていくのです。

 私はお金というのは消費するよりも投資するものだと思っていますし、人生の長さで考えると、アスリートが現役時代に稼ぐお金というのは、その後の人生で新たな生き様をつくる投資のための原資だと思っています。

 現役時代に稼いだお金と、知名度やストーリーのような力を使って新たなビジネスに乗り出し、アスリートとはまた違う形で成功して生き様を豊かにしていくことが大切です。

ジョーダンという競技を超えた存在。

 マイケル・ジョーダンやアーノルド・パーマーは、その筆頭でしょう。八村選手がジョーダンブランドとの契約を発表してる映像で驚いたのですが、後ろのビルが「ジョーダンビルディング」でした。彼は自社のオフィスビルディングを持ってるわけです。

 マイケル・ジョーダンは現役時代に唯一無二のスーパースターでしたが、今はその時と同じか、もしかすると当時以上の存在感を、競技を超えたもっともっと広い“社会”の中で発揮していますよね。

 現役時代に得た資金と「生き様」を武器にビジネスの世界で成功し、今では八村選手を筆頭に次世代の選手と次世代の生き様にも投資をする立場になっている。これは本当にすごいことです。

 日本で言えば、サッカーレジェンドの選手が日本を代表するファッションブランドを保有して大々的にビジネス展開していて、久保建英選手と契約するような事態です。このことの凄さが、日本ではまだピンと来ていないような感じがしています。

【次ページ】 中田英寿、野茂という数少ない例。

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