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佐藤悠基が語るMGCへの決意・前編。
「2時間7、8分じゃ勝負にならない」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2019/06/30 17:00
高橋尚子もダークホースに挙げるなど、佐藤悠基はMGCに向けて着々と準備を始める。
1万mを4回ぐらいの意識でやらないと。
――レース後、「スピードと持久力が足りない」という言葉を残していました。マラソンにもスピードは欠かせないということですね。
「マラソンは長い距離をどれだけ早く走るかという競技なので、スピードが欠かせないですね。そのスピードの質を高めていくんですが、感覚的にはトラックの1万mを4回するぐらいの意識でやっていかないと世界レベルで戦えない。
今、2時間4分を切るぐらいの選手がどんどん出てきているので2時間7、8分じゃ勝負にならない。日本記録を出しても勝負になるのか分からないですけど、どうしたらスピードを上げられるのか。どうしたらタイムを出せるのか。なんとなくじゃなく明確なビジョンができつつあるので、うまくいけばタイムが出るという手応えは感じています」
MGCは後半、競り勝つことが重要。
例えば、スピード練習では400mと1000mのインターバル走を取り入れている。インターバルは200mつなぎでゆっくり走る。だいたい1000m10本をこのくらいのタイムで余裕をもって走ると5000mのタイムを読むことができるという。
月間走行距離は、1000キロに少し足りない程度だ。
朝練習は佐藤いわく「否定派」なので、起きて体が動く状態になってから走り、1日1、2回の練習を設定している。
距離走は40キロを月5本程度。それ以外は距離走はせずに5キロ走を今は6本、今後は8本にしてトータル40キロの距離を踏む練習をこなしていく。
そうした練習の成果が表れたのが5月の仙台国際ハーフだった。日本人トップを走る村山謙太を徐々に追い上げ捉えると、日本人トップの総合2位(1時間2分30秒)でフィニッシュした。レース後は「プラン通りのレースができました」と笑顔を見せた。
――仙台国際ハーフで語ったプラン通りという意味は?
「4月からMGCに向けてのトレーニングを始めて、そこから1カ月半の経過を見るということとMGCに向けてマラソンのためにハーフを走るという位置づけで仙台ハーフに出場しました。MGCは勝負のレースになってくるので後半、勝負しにいった時、相手に競り勝つことが重要になってきます。
仙台ハーフでは村山(謙太)選手に先行されたんですが、追いつかなくても詰められればいいなって思っていましたし、並んだ中盤以降はラスト2キロでペースアップしても押し切れると思っていた。最後の勝負でしっかりと相手をとらえられたのでプラン通りのレースができました。あと、もう1本ハーフを走る予定です」