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佐藤悠基が語るMGCへの決意・前編。
「2時間7、8分じゃ勝負にならない」
posted2019/06/30 17:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Yuki Suenaga
9月15日、MGCの号砲が鳴る。
大迫傑、設楽悠太ら多くの有力ランナーがいる中、高橋尚子は佐藤悠基をダークホースに挙げた。
マラソン強化戦略プロジェクトリーダーの瀬古利彦は「佐藤君は勝負強いですし、最近はマラソンの足ができている。まだまだ余力が残っている気がします」と、佐藤を推している。
高まる評価の中、佐藤は粛々とマラソンのための足作りに励み、マラソングランドチャンピオンシップ(通称MGC)当日に向けて準備を整えつつある。
佐藤がMGC獲得のために挑んだ最初のレースは、2017年12月の福岡国際マラソンだった。
残念ながら35キロ付近で途中棄権となり、捲土重来、2度目の挑戦は2018年2月の東京マラソンだった。
設楽悠太が当時の日本新記録(2時間6分11秒)を達成したが、佐藤もサブテン(2時間8分58秒)を達成し、東京五輪のマラソン代表の座をかけたMGC出場権を得た。
あれから約1年半弱の時間が経過した。佐藤は今、どのような心境でMGCに向けて調整しているのかを聞いた。
東京マラソンで「イケる」と感じた。
――MGCに向けて、ここまで順調にトレーニングをすることができていますか?
「やりたいことはできているのかなと思います。例えば昨年のベルリンマラソン(2時間9分18秒で6位)はトレーニングを順調にこなしている中での海外レースでした。ペースメイカーが付いていたけど当てにならなくて(苦笑)。機能していれば(1キロ)2分58秒ぐらいで行こうと考えていたんですが、前半はスローペースだったので後半に自分でペースを上げました。
残り2キロでフラフラになってもいいんで、30キロを越えてどこまでペースを上げられるか試したんですが、しっかりと上げられた。自分のやりたいレースができたし、それなりの手応えは掴めました」
――マラソンはベルリン以来、今年に入ってから3月の東京マラソンに出場しました。このレースの狙いは何だったのでしょうか。
「レベルの高いレースに出ていった時にいい勝負ができるように思い切った攻めのレースをやって、どこまでいけるのかをやってみたかったんです。レースは25キロぐらいまでは攻めの姿勢で行けた。途中寒さで腹痛が出てしまったんですが、練習をワンランク上げていけば30キロ以降もしっかりと走れる体ができてくるんじゃないかなと。
実はこの時、自分がこれ以上無理だというトレーニングをしてきたわけではなかったんです。だから、まだイケる、まだレベルアップできると感じたことが収穫でした」