Number ExBACK NUMBER
ホームランに飢える阪神タイガース。
平成の「虎ベスト」アーチを選んでみた。
posted2019/06/20 11:30
text by
矢崎香耶子(Number編集部)Kayako Yazaki
photograph by
Kiichi Matsumoto
平成の阪神タイガースは、ホームランと縁が薄かった。
セ・リーグのチーム別に平成で生まれたホームランの数を見てみると、以下のようになる。
1位:読売ジャイアンツ/4662本
2位:広島東洋カープ/4054本
3位:ヤクルトスワローズ/3926本
4位:中日ドラゴンズ/3628本
5位:横浜DeNAベイスターズ/3529本
6位:阪神タイガース/3164本
松井秀喜、清原和博、高橋由伸など錚々たる選手を擁した巨人がさすがの風格でトップ。前田智徳や近年の鈴木誠也らが数を稼ぐ広島、バレンティン、山田哲人といった強打者のイメージも強いヤクルトが続き、T・ウッズを擁した中日、筒香嘉智が牽引する横浜と来て……やはりと言うべきか、阪神は最下位である。
1位巨人との差、およそ1500本。ちなみに、阪神のシーズン本塁打数がリーグでトップになったことは平成30年間一度もなく、Aクラス入り(=3位以内)すら4度しかない。
そんな平成と新時代・令和を跨いだ今シーズンも、6月18日現在の本塁打数はリーグ5位。それほど、広い甲子園でホームランを量産するのは難しい、ということだろう。
令和を担う阪神の大砲・大山悠輔の一振り。
しかし、そんな阪神にも、ファンの心を震わせた素晴らしいホームランがある。そこで、平成の阪神タイガースが放った本塁打の中から、ベストホームラン=「虎ベスト」を3本紹介したい。
<2017年7月1日 大山悠輔/初安打が初ホームラン>
前年に引き続き若手が躍動したことで、序盤から広島と首位争いを繰り広げていた2017年のタイガース。ところが交流戦明けに大失速、あれよあれよという間に8連敗を喫してしまった。
泥沼にハマったまま迎えた7月最初の試合。0対0の3回裏、この僅か2日前に初のスタメン入りを果たしていた大山がヤクルトの先発・原樹理の直球を振り抜くと、飛球はそのまま左翼スタンドへ。初安打がドラフト1位指名への懐疑的な声を吹き飛ばす決勝3ランホームランとなり、一躍チームの救世主となった。
今季、開幕から一貫して4番を務めている大山には、少しずつ強打者の佇まいのようなものも見え始めている。令和の阪神タイガースを担う大砲の、鮮烈なデビュー弾であった。