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ホームランに飢える阪神タイガース。
平成の「虎ベスト」アーチを選んでみた。
text by
矢崎香耶子(Number編集部)Kayako Yazaki
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/06/20 11:30
現役時代には“アニキ”“鉄人”と尊敬を込めてファンから呼ばれた金本知憲。今でもファンの心に彼の感動のプレーの数々が生き続けている。
阪神の“代打の神様”が放った最後の本塁打。
<2013年10月13日 桧山進次郎/現役最終打席の2ランホームラン>
2013年シーズンでの引退を決めていた“代打の神様”、桧山進次郎。引退試合を終えた後も、チームがクライマックスシリーズに進出したことにより、出場を続けていた。
5点ビハインドで迎えた9回、2死からマートンが右前打でつなぎ、代打・桧山がコールされた。広島・ミコライオが投じた2球目、内角いっぱいのストレートを弾き返した先は……阪神ファンで黄色く染まった甲子園のライトスタンド。
試合には負けてしまったが、これが本当に現役を引退する選手のバッティングなのか、と驚嘆させられた。“代打の神様”を体現する、惜しまれるにふさわしい最終打席となった。
<2003年10月23日 金本知憲/日本シリーズでサヨナラホームラン>
星野仙一監督2年目の2003年、阪神は18年ぶりのリーグ優勝を果たし、福岡ダイエーホークスとの日本シリーズを迎えた。第1戦、第2戦とゲームを落とした阪神は、舞台が甲子園に移った第3戦で延長戦をなんとかものにして1勝2敗。負ければダイエーに王手をかけられるという第4戦は、勝ち越して追いつかれるという展開の中、またも延長戦に突入した。
10回裏1死走者なし。金本知憲はバッターボックスに立つと、ダイエー・新垣渚のスライダーを一閃。ガッツポーズを繰り出してダイヤモンドを一周した金本を、ベンチから飛び出した星野監督が豪快に抱きしめた。結局この年の日本シリーズは最終戦までもつれた末にホークスが制したが、同年にFAで広島から移籍してきた金本が、正真正銘「阪神の顔」となったことを印象づけるホームランだった。
その金本が平成の間に打った476本は、T・ローズ、小久保裕紀らを抑えて堂々の1位。そこで、Number980号では、“平成の本塁打王”アニキに、自らの生涯ベスト本塁打を選んでもらった。
平成で最も多くの本塁打を放った金本知憲さんの特集記事では、金本さんに自身のベストホームラン=「俺ベスト」を選んでもらいました。金本さんは意外にも、日本シリーズのサヨナラホームランは「番外編」だと言います。“平成の本塁打王”アニキの考える理想の一発とは、どんなホームランなのか。ぜひ雑誌をご覧ください。