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“親子弾”若林晃弘を育てた
巨人二軍での「超攻撃野球」。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2019/06/14 15:30

“親子弾”若林晃弘を育てた巨人二軍での「超攻撃野球」。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

6月7日、ロッテ戦でプロ1号を放つ若林。2017年のドラフト6位。

一軍が必要とする選手を送り出すこと。

 一方、二軍を預かる高田誠監督はファームの役割をこう考えている。

「三軍は選手の育成がただ1つの役目になりますが、二軍は違う。ファームの役割は最初に一軍が必要とする選手を送り出すこと。まずそれがあって、その中でいかに選手を育てて、成長させていくか。この2つの役目をどうリンクさせていくかです。

 勝つことももちろん大事ですけど、まずその2つの役割があって、その中でいかに勝てるかだと思ってやっています」

 そのために試合ではまず打者が相手投手とのタイミングや間合いを覚えて、いかにバットを振るかを優先させて打席に立たせている。だからその機会を奪わないように、試合の序盤や中盤までは送りバントのサインを出すことはほとんどない。

状況によっては坂本勇人にも送りバントを。

 もちろんだからといってバントを疎かにしているわけではない。

「原監督は状況によっては(坂本)勇人にも送りバントをさせますから、そういう意識はきちっと選手にも植えつけて練習はしっかりさせる。試合の中でもここ一番では打順に関係なくサインを出すこともあります」

 要は最初から勝つために、走者が出たら送りバントのサインを乱発することはないということだ。

 厳しい局面で送りバントをしっかり成功させることは必要だし、そういうシチュエーションでは打順に関わらずバントのサインも出し、そのための準備もさせる。ただ、選手が成長するためには、試合の1打席も疎かにはできない。そこできちっとバットを振らせ、強いスイングを身に着けさせて、一軍で使える選手を送り出す。

 勝利ではなく、育成を目標にした野球に今年の巨人の二軍は徹しているということなのだ。

 こうした背景があるから、若林だけではなく抜擢した若手野手がすぐに結果を残すケースが何度もあった。

【次ページ】 若手選手の台頭こそ最大の価値。

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