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“親子弾”若林晃弘を育てた
巨人二軍での「超攻撃野球」。
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![鷲田康](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/06/14 15:30
![“親子弾”若林晃弘を育てた巨人二軍での「超攻撃野球」。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/2/b/700/img_2b5d6166fcef4cb5a8bea5100727774b150211.jpg)
6月7日、ロッテ戦でプロ1号を放つ若林。2017年のドラフト6位。
一軍と二軍はより強く連携するようになった。
一軍昇格→先発抜擢→即活躍という理想的なサイクルの背景を取材すると、原監督が指摘したのは組織としての一、二軍の連携ということだった。
「先発に抜擢するときというのは、もちろん下からの推薦で一軍に上げ、そこから試合前を含めた練習を見て、その選手の状態をしっかり把握した上での起用になる。
ただ、今年の巨人は選手が一軍に上がってくる前、ファームでも一軍と同じ考えで、同じ野球をやってチームが動いている。
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そうやって上も下も同じ戦い方をしていることが、若い選手が一軍に上がってきてすぐに適応して活躍できている下地になっていると思いますね」
激減した、二軍の犠打数の理由。
その一、二軍の組織的連携を象徴する数字がある。
二軍の公式戦での犠打数だ。
イースタン・リーグで優勝した昨年は118試合で141犠打を記録した。川相昌弘前監督が「1点を取る野球」を掲げ、送りバントを多用。ある意味、勝ち切る野球に徹して戦ってきた結果だった。
しかし、今季の巨人は一軍が2番に坂本勇人内野手を起用して、超攻撃的野球を展開している。
「下(二軍)も一軍と同じ戦い方をするということは何かといえば、やっぱりどういう局面でもまずきちっとバットを振るということ。その中で状況に応じて右打ちやチーム打撃や様々な打席での対応があるという野球です」
そこで昨年の犠打数と今季の犠打数には大幅な変化が生まれた。
高田誠監督になった今季は、基本的にゲームの序盤やここという勝負どころ以外では送りバントはしない。
その結果、6月13日時点で61試合を消化して、犠打数はリーグ最少の19個と大幅に減少している。
「もちろんバントも野球の中では大事な作戦の1つです。ただ、バントだけではない。自分で工夫してなんとか走者を進めるバッティングをしたり、あるときは強打もある。そういう野球を二軍でもきちっと経験させることが、一軍で出番が回ってきたときに力を発揮しやすい環境につながっていると思います」
原監督の分析だった。