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新生なでしこ、W杯初出場は17人!
栄光を知る鮫島と宇津木の覚悟。
text by
日々野真理Mari Hibino
photograph byGetty Images
posted2019/06/08 12:00
若手からの信頼が厚い宇津木瑠美(左)と鮫島彩。これまでの経験を言葉とプレーで伝えていく。
鮫島が自覚する立場の違い。
経験が多い分、当然ながら危機感も人一倍だ。選手同士の話し合いでは常に中心にいる。
「難しい試合が多くなると思います。別にネガティブに思っているのではなく、課題は山積みですので、ひとつひとつクリアしながら進んでいかなくてはいけないと思っています。結果が出てみないと分からないことも多いですから。悩みながらひとつひとつやっていくしかありませんね」
こうした立場で大会を迎えるにあたり、鮫島自身、実感することがあったという。
「今の立場でいろいろチームのことを考えると、これまで一緒にやってきた上の人たちは、やっぱりすごいなっていうところに着地するんです。いかに引っ張ってきてもらっていたかということを実感します」
これまでの世界大会との立場の違いを痛感している。
宇津木が知るW杯の怖さと偉大さ。
そしてもう1人、今大会のキープレイヤーに挙げたいのが、アメリカ女子リーグのシアトルレインで活躍する宇津木瑠美だ。鮫島同様に'11年大会、'15年大会のW杯メンバーでもある。
常々、代表でプレーすることの責任と、誇りをもつことがいかに大切か、そしてベンチメンバーも含め、すべての選手がチームのために全力で戦えるかが大切だと強調する。その姿勢は、なでしこジャパンがずっと大切にしてきたものでもあり、強さを支えるものでもあった。
センターバック、サイドバック、ボランチ、そしてときにはスタメン、ときにはベンチと、様々な立場を経験してきた宇津木の言葉の強さには説得力がある。
練習中にも、プレーが止まるたびに周りの選手と細かく話をしている姿が目立った。
「このチームは、W杯が初めての人と、(W杯の)経験がある人では経験値が8年以上の差がある。経験している自分たちが、W杯の怖さ、偉大さというものを伝えなくてはいけない。でもそれは、“どれだけ伝えるのがいいのか”ということを考えながら伝えていかなくてはいけないと思っています」