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新生なでしこ、W杯初出場は17人!
栄光を知る鮫島と宇津木の覚悟。
text by
日々野真理Mari Hibino
photograph byGetty Images
posted2019/06/08 12:00
若手からの信頼が厚い宇津木瑠美(左)と鮫島彩。これまでの経験を言葉とプレーで伝えていく。
常に「本番」を想定して。
普段から言葉数が多い宇津木だが、練習中のコミュニケーションはより一層増えているという。
「例えば、今やっている日本人同士の練習の中でうまくやれていて、それで本番が大丈夫と思ってしまわないように。W杯で戦う時に、そのまま通じることなんて、3分の1あるかどうかわからないくらいなので。
だから、実際に通ったパスも“それは本番では通らないパスだよ”とか、“寄せられていると思っているかもしれないけど、それは実際には全然寄せられていないよ”とか、そういった本番であり得ることを予測して伝えていければと思っているんです」
“伝えすぎ”はプレッシャーになる。
しかし、ただ何でも伝えるということではない。
「もちろん真実は伝えなくてはいけません。でも、その一方で過剰に言うと、それが若い選手にとってどれだけプレッシャーになる可能性があるかわからないので、上のメンバーでちょうどいいところを探しながらやっています。
若いから“それは言わないほうがいいかもしれない“ということもあります。知識を多くしすぎて頭がいっぱいになってしまい、フレッシュさを失うというのも怖い。ですから、グラウンドの中では逆に彼女たちの話をよく聞くようにはしています。
ただ、今の状況を心配するのが年上の選手だけではいけないし、どっちつかずの状態がすごく嫌なので、話をする時間をなるべく多くしているんです。すごく難しいことですけど、やっていかないといけませんからね」
バランスを探りながら、チームを牽引している。