“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-20W杯でスターになるはずだった男。
宮代大聖、川崎での試練を経てA代表を。
posted2019/06/07 18:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Getty Images
肝心な時にゴールという結果を残すことができなかった……。
U-20W杯ラウンド16の韓国戦。決定的なチャンスを作れどモノにできなかったU-20日本代表は、84分に決勝弾を浴びて0-1の敗戦を喫し、ここで大会から姿を消すこととなった。
この瞬間、2017年に立ち上げられた影山ジャパンは、その終焉を迎えた。
この試合、今大会初のスタメン・フル出場を果たしたFW宮代大聖だが、結局ノーゴールに終わり、チームを勝利に導くことができなかった。
彼に掛かる期待は、今大会では特に大きかったと言っていいだろう。全試合を通じて、彼は重要なキープレイヤーとなっているはずだったのだ。
グループリーグ初戦のエクアドル戦で宮代は0-1の状況での後半頭から投入されている。68分にMF伊藤洋輝の浮き球のパスに反応し、DFラインとGKの間のスペースに走り込むと、飛び出してきたGKと交錯。こぼれたボールをMF山田康太が押し込んで、初戦をドローに持ち込む貴重な同点弾に絡んだ。
第2戦のメキシコ戦ではスタメン起用されている。宮代は、この試合でずば抜けた存在感を放つこととなった。
メキシコ戦で輝いた2ゴール!
立ち上がりから宮代は高い位置でボールを受けては、懐の深さを生かしたキープ力とターン能力で周りに正確なパスを送り続けた。さらに、1人剥がして前に仕掛けるなど、攻撃のリズムを何度も生み出している。
中でもペナルティーエリア内での質の高いプレーはまさに一級品と呼ぶにふさわしく、一瞬のスピードで入り込んでは、ボールを集約して決定的な仕事をこなしていた。
例えば……21分に相手のクリアボールに反応したMF藤本寛也の姿を視界に捉えながら、エクアドル戦同様にDFラインとGKの間のスペースに猛然とダッシュする。ここに藤本からの上質なボールがピンポイントで届くと、背後から来たボールの勢いを生かしたまま反転しながらダイレクトシュート!
ボールはゴール右ポストに当たってゴールに吸い込まれた。
貴重な先制弾をマークすると、2-0で迎えた77分にFW田川亨介のスルーパスに抜け出して、試合を決定づける3点目。この日が誕生日だった宮代は、2ゴールという結果で自身の記念日に華を添えたのだった。