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U-20W杯は序章を終え、決戦へ。
存在感増すMF山田康太「ギア上げる」。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byVI Images/AFLO
posted2019/05/30 18:00
グループリーグ3戦にすべて先発起用された山田康太。イタリア戦でも攻守に奮闘し、決勝トーナメント進出に貢献した。
懸念された試合勘も、何のその。
後半に入っても山田の運動量と頭の回転速度は落ちなかった。
58分、カウンターから山田が鮮やかなトラップで前を向くと、ドリブルで持ち込み、相手のラインを下げさせた。64分にはペナルティーエリア付近で浮き球のルーズボールに即座に反応。DFが寄せてくることを察知して、落下地点と相手DFとの間に身体を差し込みながら、足元に引き込むトラップをしてボールを収めた。そこから味方に展開し、チャンスを演出した。
後半アディショナルタイムには、主審と接触してドロップボールになったが、左サイドからのカットインを仕掛けるなど、90分間を通して、彼の動きは効果的なアクセントとなり、チームに活気を与えていた。
「正直、後半始まって10分ちょっとした時、少し足にきていて、微妙な(ボール)タッチなどが、若干乱れていたように感じていました。でも、そこで本当にみんなに助けてもらっている部分を感じたので、『もう1回やるぞ』と奮い立って、最後の30分はより集中できたというか、チームとしてゴールに迫ることができていたと思います」
所属する横浜F・マリノスではそれほど試合に絡めてはいない。能力に疑いの余地はなかったが、大会前は試合勘という面で若干の不安があった。だが、蓋を開けてみると、彼は初戦から豊富な運動量でハードワークを繰り返し、守備面の貢献はもちろん、攻守のトランジションでも要衝として質の高いプレーを見せつけている。
第2戦のメキシコ戦では、MVP級の活躍を見せたボランチの藤本寛也(東京ヴェルディ)と息がぴったりとあった連係を見せ、替えの利かない存在であることを示した。
90分間戦う力を発揮するために。
「(チームでの出場機会は少ないが)僕自身は、90分間戦うことに苦手意識はありません。出場機会がないときでも常に、90分間戦う力を発揮するために(練習に)取り組んでいますし、そこは大丈夫かなと思っています」
すべてはコツコツと磨き上げてきた技術と、試合に出ていない時期でも腐らずに研ぎ澄まし続けた「眼」があったからこそ。
「どんなにしんどくても相手の動きがしっかり見えているというか。試合を重ねるごとにゲームに慣れてきているのかなと感じます。だからこそ、ボールロストが減ってきたりとか、判断が良くなったり、相手の逆を取れたりというのは増えてきているので、そこはこれからもっと良くしたいです」