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U-20W杯は序章を終え、決戦へ。
存在感増すMF山田康太「ギア上げる」。
posted2019/05/30 18:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
VI Images/AFLO
試合を重ねていくごとに、「見えている」プレーが増えていった。
貴重な同点弾を上げた初戦のエクアドル戦は後半アディショナルタイム1分まで、メキシコ戦、イタリア戦ではフル出場。U-20日本代表のMF山田康太(横浜F・マリノス)は、1勝2分けでグループリーグ2位通過を果たしたチームにおいて、まさに大車輪の活躍を見せている。
「守備は求められたことをしっかりこなし、攻撃面では要所でテクニックだったり、アイデアなどで『違い』を見せようと思っています」
左サイドハーフの役割を任される彼が言う「違い」とは、相手の出方を見て、適したプレー選択をすること。そして、持ち前の技術力を具現化することにある。
豊富な運動量を駆使した守備をベースに、ボールを持てば、運ぶ、はたく、タメる、攻撃のスイッチを入れるなど、数多くの引き出しからベストな選択をして、攻撃の潤滑油となる。
「ゲームが始まったら、相手の形とかやり方をすごく見るタイプだと自分では思っています。相手がどういう出方をするか、自分がサイドにいた方がいいのか、それともタイミングを見てインサイドに入った方がいい相手なのか、見極めながらやっています。コーチに相談したりもします。そういう相手を観察する力というのは大事にしています」
「勝ちを目指して臨んだ」イタリア戦。
グループリーグ最終戦のイタリア戦。日本は引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まり、すでにそれを確定させていたイタリアは引き分け以上でグループ首位通過が確定する状況だった。そのため、イタリアはメンバーを大幅に入れ替れて日本戦に臨んできた。
「相手は引き分けでも最悪いいという感じでしたけど、(日本は)勝ちを目指して臨んだ一戦だった」
山田は相手の試合運びの意図を感じつつも、それを打開する術を狙い続けた。
「相手のサイドバックに『どうしたらいいんだ?』と迷いを持たせるというか、自分が中央の位置をとることによって、今日だったら(左サイドバックの東)俊希に高い位置を取らせることで、相手の陣形も下げれるし、高い位置でボールを回せる。そこも含めて自分がアクセントになれたらなと思いました」(山田)
18分、FW田川亨介(FC東京)がボールを受けに落ちてくると、山田はすぐに田川との距離を詰め、パスを受けられるように中央にポジションを取った。狙い通りそのパスを受けると、ボックス内に潜り込もうとしたMF斉藤光毅(横浜FC)へクサビのパスを打ち込んだ。斉藤の抜け出しはDFに抑えこまれたが、田川が落ちたことで生まれたスペースを見逃さず、かつその先の展開までイメージができていた。