Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER
<アトランタ主将の蹉跌>
前園真聖「五輪しかないのがずっと嫌だった」
posted2019/06/03 15:00
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
Naoya Sanuki
眼光鋭いドリブラーは五輪の重い扉をこじ開けた。だが短い栄華の後にあったのは泥沼の苦闘と大きな躓き。閉塞した才能を抱えた葛藤の先に彼は何を見つけたのか。(Number979号掲載)
光に照らされた先には影が映る。
光がまぶしいほど影は濃く、深くなる。
前園真聖は自分にまとわりつく影が嫌いだった。
5年、10年と経ち、引退しても消えない“1996年アトランタ五輪日本代表キャプテン”という肩書。
「僕はそれだけを言われるのがずっと嫌だったんです。アトランタのキャプテンと言われるってことは、その後の僕の実績はないんです。あれから2005年に引退するまで10年現役を続けていたのに。そういうモヤモヤをずっと感じていた」