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ブラジル隆盛を築いた名将の助言。
「日本バレーは歩みを止めた」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2019/05/29 11:00
1982年からブラジルの各年代の指導を行ってきたマルキーニョス氏。堺ブレイザーズを2シーズン、サポートした。
例に挙げたカナダの躍進。
1つ目と2つ目の目的はシンプルで、「強い相手と戦う機会を増やすこと」。代表の活動期間中に海外のチームと公式戦や練習試合をするだけではとても足りないと言う。
「だから、V.LEAGUEは(アジア枠ではなく)外国人枠を2人ぐらいにして(現状は外国人枠1人+アジア枠1人まで可)、リーグのレベルを高くすべきだったんじゃないか。これはあくまで私の個人的な考えですが。国内リーグの中で、海外のハイレベルな選手とプレーする機会が多くなれば、日本人選手のレベルも上がりますから」
それと同時に、選手をどんどん海外のリーグに送り出し、海外の選手と対戦することを日常にすることも大事だと言う。
マルキーニョス氏が例に挙げたのが、2016年リオデジャネイロ五輪で24年ぶりの五輪出場を果たし、現在、世界ランキングを6位まで急上昇させているカナダだ。
「カナダはバレーが盛んな国ではなく、国内リーグもありません。だから選手を鍛えるためにブラジルやイタリアなど海外のレベルの高いリーグに送り込み、成長させたのです」
ブラジルは15年以上、世界ランク1位。
一方、マルキーニョス氏の母国ブラジルでは、ブラジルバレーボール協会がプランを立て、長い時間をかけて礎を築いた。
ブラジルが初めて五輪で金メダルを獲得したのは、1992年バルセロナ五輪の男子だったが、そのための計画は1980年にスタートしていた。そしてバルセロナ五輪後も改革を継続してきた結果、2004年アテネ五輪男子、'08年北京五輪女子、'12年ロンドン五輪女子、'16年リオデジャネイロ五輪男子の金メダル獲得があった。
しかも、マルキーニョス氏が「我々は五輪で優勝することが目標ではなく、世界大会でベスト4やファイナルに行く、それを永遠に続けることが目標だった」と言うように、ブラジル男子はアテネ五輪以降、4大会連続で五輪の決勝に進んでいる。選手が入れ替わりながらも、15年以上、世界ランキング1位の座を守り続けている。