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早稲田大の1年生・大塚達宣の選択。
Vリーグの誘いを断り、大学で伸びる。
posted2019/05/27 08:00
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Yuka Shibata
背番号「18」のエースが躍動する。
ただしそれはピッチャーマウンドではなく、体育館のコートの中。
今年1月の春高バレーで高校日本一を成し遂げ、今春、早稲田大学に入学。えんじ色のユニフォームを着た大塚達宣は、実に楽しそうにプレーをしていた。
世間が10連休に沸いた5月。1日から6日まで開催された黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会ではVリーグの堺ブレイザーズ、豊田合成トレフェルサに勝利し、予選グループ1位で決勝トーナメントへ進出。準々決勝で東レアローズに敗れはしたが、194cmの1年生エースは、前衛、後衛に関わらず積極的に攻撃を展開。
さすがに4連戦目の準々決勝は脚が痙攣し、「体力不足です」と言いながらも、満面の笑みを浮かべていた。
「自分よりも上の相手、強い相手と戦えるのはめっちゃ楽しいです。コートにいると疲れは感じなかったんですけど、終わったら一気にドッと(笑)。立つのもしんどかったです」
「頭が賢い、プレーもクレバー」
黒鷲旗を挟み、4月6日に開幕し、5月18日に閉幕した関東大学1部春季リーグは11戦全勝優勝。黒鷲旗に続いて新人賞も獲得した。
「やるからには、日本を背負う選手になりたい。そう思って早稲田大を選んだので、体力も筋力もプレーもすべて磨いて、1つずつ段階を踏んで、成長したいです」
笑顔の先に広がる視界は良好だ。
両親の影響で小学3年からバレーボールを始め、Vリーグのパナソニックパンサーズの下部組織であるパンサーズジュニアで技を磨いた。中学時代から全国大会でも名を馳せ、春高も3年連続出場。1年時から洛南高校のエースとして存在感を発揮しただけでなく、試合後のコメントも相手に対する分析もいつも的確だった。
全国大会出場に向け京都代表の座を争ったライバル校、東山高校の豊田充浩監督も「頭が賢いのはもちろん、プレーもクレバー。自分のことだけでなく、周りをどう活かすか、その中で自分がどう活きるかを考えられる選手」と大塚を称賛した。