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ブラジル隆盛を築いた名将の助言。
「日本バレーは歩みを止めた」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2019/05/29 11:00
1982年からブラジルの各年代の指導を行ってきたマルキーニョス氏。堺ブレイザーズを2シーズン、サポートした。
短期間で変えることは難しい。
「何をするにも“プラン”というものが重要です。それはクラブチームでも、代表でも同じ。何年後にこのレベルに行きたい、という目標を定め、そのためのプランを立てなければいけない。その時に何をやるかによって、未来が変わってくる。何もしなければ、将来は何も変わらなかったり、悪くなる。でもいいものを積み重ねていけば、将来、花を咲かせることができるのです。ただ、それには時間がかかります。短期間で変えることは難しい。東京五輪まであと1年……、ちょっと厳しいですね。
日本は 1970年代にバレーボールに革命のようなことを起こしました。また日本が世界で戦えるようになるには、それこそ革命のような変化が必要でしょう。
日本は2013年に、2020年に開催される五輪のホスト国になると決まりました。その時にしっかりと、大胆なプランを立てていれば……。なぜそうしなかったのか。それが日本の選んだ道なのでしょうか。ビジョンがありませんでしたね。やはり『何かを変えよう』というエネルギーのある人が上に立ってやらなければ、難しい。『変えるんだ』という強い気持ちと勇気、行動力がなければ、変化は起こせません」
マルキーニョスが挙げた3つの強化。
変革や徹底した強化を行うには、費用がかかるし、軋轢も起こるかもしれない。しかし「東京五輪」という大目標のもとなら、スポンサーは集めやすいし、強化費も増える。意思統一も図りやすくなる。だから、マルキーニョス氏は悔やむ。
「日本でオリンピックを開催するということは、世界トップとの距離を縮めるために、これ以上ないチャンスでした。
そして、そこでベスト4ぐらいに入ることができれば、東京五輪以降のモチベーションも上がるでしょうし、バレーを好きになる人も増えると思うのですが……」
では、日本は何をすべきだったのか。マルキーニョス氏がポイントに挙げたのは次の3つだった。
「外国人枠を増やして国内リーグ(V.LEAGUE)を強化する」
「海外のリーグにもっと多くの日本人選手を送り出す」
「フィジカル面、技術面のさらなる強化。特に大学生のウエイトトレーニングを充実させる」