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サートゥルナーリアは時代を作るか。
ディープの金字塔を塗り替えていく。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2019/05/25 10:00
ロードカナロアというスプリンターを父に持ちながら、無敗の二冠馬に手をかけるサートゥルナーリア、規格外である。
ディープとは「人間」の見方が違う?
このように、サートゥルナーリアは、デビューしてから、角居厩舎のスタッフのほか、ノーザンファームしがらき、ノーザンファーム天栄、そして安平町のノーザンファームといった異なる場所でそれぞれのスタッフにケアされてきた。さらに、これまでの実戦で2人の騎手を背にし、ダービーで3人目の鞍上を迎えることになる。
どちらも同じノーザンファームの生産馬なのだが、ディープインパクトのときとは、人馬の接し方がまるで変わってきている。
馬に訊いてみなければわからないが、おそらく、ディープインパクトとサートゥルナーリアは、「人間」という生き物に対して、異なる見方をしているだろう。
どちらがいいのかはわからない。
今年のダービー出走馬に、ディープの産駒が4頭、孫が1頭いる。ディープのダービーから14年の時が流れた今、仕上げ方も使い方も変わっていて当然なのか。
令和最初のダービーはどうなるのか。
サートゥルナーリアがダービーを勝てば、平成の最強馬のつくり方と、令和の最強馬のつくり方の違いや共通点が、いろいろな媒体でクローズアップされるだろう。
そうなるような気がするので、印は、皐月賞と同じにしたい。
◎サートゥルナーリア
○ダノンキングリー
▲ヴェロックス
昭和元年にはまだ日本ダービーはなかった。第1回日本ダービーは昭和7年で、函館孫作が騎乗したワカタカが優勝した。
平成元年のダービーを優勝したのは、剛腕・郷原洋行が乗るウィナーズサークルだった。史上唯一の茨城産で、ただ1頭の芦毛のダービー馬である。
令和元年のダービーは、どのような戦いになるだろうか。
サートゥルナーリアの状態は、皐月賞を使われて確実に上昇している。母は日米のオークスを制した名牝シーザリオ、半兄には菊花賞とジャパンカップを勝ったエピファネイア、朝日杯フューチュリティステークスを勝ったリオンディーズらがいる。そのエリートファミリーのなかでも、突出した素質を感じさせる。
ディープインパクトが「飛んで」以来、14年ぶりの衝撃に備えつつ、スタートを待ちたい。