マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
佐々木朗希、だけじゃない東北投手。
仙台大・宇田川優希はまるで“野茂”。
posted2019/05/22 08:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Sendai University
プロで働ける選手とそうでない選手、どこが違うんですか?
この難しい質問を多くの方から投げかけられて、う~んと何年も胸に落ちる“答え”が出せず、ようやく「これだな……」とうなずける自分なりの解答を見つけられたのが、つい4、5年前のことになる。
いい選手だな……と感心するぐらいでは足りない。なんだこいつ! すごいな! と驚かせてくれるぐらいじゃないと、プロは苦しい。
たどり着いた自分なりの解答である。
ありがたいことに、『流しのブルペンキャッチャー』の捕球取材も含めて、長いこと全国の剛腕、快腕を数多く見る機会を得て、ちょっとやそっとの剛球、快速球ではビックリしなくなっているが、それだけに、飛び抜けた才能を感じるボール、とんでもない威力が伝わるボールに出会ったときは、とても驚けるようになってきた。
今年で言えば、1つ前が4月のU18候補合宿時の、佐々木朗希(大船渡高)をはじめとする逸材たちが投げ込んできた剛球、快速球。
そして、つい最近、思いがけなく「2つ目」に出会ってきた。
仙台大・宇田川優希という逸材。
仙台大学の投手・宇田川優希(3年・184cm/95kg・右投右打・埼玉八潮南高)。
全国的には無名だが、すでにもう何度か報道に載った名前なので、熱心なファンの方なら聞いたことのある存在であろう。
1年生だった一昨年からリーグ戦で投げ始め、150キロを超える剛速球で本格派の素質の片鱗を発揮し始めている逸材である。
仙台大のグラウンドへは、ちょっと用事があって伺った。
お互い全勝で迎えた東北福祉大との“一騎討ち”が間近に迫っていた。
夕方から始まった練習にも、ピンと張りつめた程よい緊張感が漂う。その中で、投手陣のピッチングが入れ替わり立ち替わり続いている。
聞こえてくる乾いた捕球音が「あれっ、変わったかな……」と思ってブルペンに向かうと、ものすごい体格をした右腕が、とんでもないボールを投げていて驚いた。