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短距離隆盛の陸上に新たな可能性。
強化が実り始めた4×400の今後。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph bySho Tamura/AFLO SPORT

posted2019/05/21 11:00

短距離隆盛の陸上に新たな可能性。強化が実り始めた4×400の今後。<Number Web> photograph by Sho Tamura/AFLO SPORT

若手主体のチームで臨んだ4×400mリレー。9月にドーハ開幕する世界選手権の切符を手にした。

第一人者、金丸も輝けず……。

 400mは対照的だ。先の金丸が突出した第一人者として君臨してきたのが現状だった。日本選手権で他の追随を許さず、'15年まで11連覇を果たしていることは象徴的だ。その金丸であっても、3度出場したオリンピックの400mはいずれも予選敗退にとどまった。選手個々の地力において、海外との差が大きくなっていた。

 次の成績も興味深い。アジア大会では'14年に金メダル、'18年に銅メダルを獲得しているが、3分1秒88を記録した'14年のメンバーには藤光謙司、飯塚翔太が含まれていた。2人の専門は短距離種目であり、4×100mリレーの日本代表となったことも珍しくない。

 また3分1秒94の'18年にも、飯塚と今回の世界リレーで4×100mリレーに出場した小池祐貴がいた。400mの選手層の薄さを示していると言えるだろう。

 また、リレー種目に対する日本陸上競技連盟のバックアップも決して強かったとは言えない。例えば'09年世界選手権への出場に必要な参加標準記録突破のためにレース出場の機会を増やすことに、連盟として積極的ではなかった。「まずは個々の走力アップが優先」という見解からだったが……。

強化が始まった2018年。

 ただ、'18年から変化があった。北京五輪の4×100mリレー銀メダルを支えた土江寛裕コーチの指導体制になり、さまざまな取り組みを行なってきた。前半から攻める意識付けなど細かなところから強化を図り、選手たちを集め、合宿をしばしば実施。

「レースの前半の1、2走で、そして個々の走りでも前半の200mで、いいポジションで持っていくことができるようになってきている」(日本陸連強化委員会T&F担当ディレクター山崎一彦氏)

 今回の世界リレーでも、前半から積極的に攻める走りが見られた。そして掴んだ4位。強化の効果が感じられるものであり、長い低迷から脱け出すきっかけと思えるものでもあった。

【次ページ】 チーム内の競争が活性化?

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