ビッグマッチ・インサイドBACK NUMBER
ペップがバルサと並び最強と称えた!
勝ち点97で2位、リバプールの偉業。
text by
寺沢薫Kaoru Terasawa
photograph byAFLO
posted2019/05/13 11:40
プレミアリーグでの優勝はまたしてもならなかった。しかしクロップ監督(右)やアーノルドらの表情からは、チームの充実ぶりが分かる。
クロップ魔術がバッチリ機能した。
これだけのメンバーがそろって実力を発揮し、なおかつユルゲン・クロップの巧みな采配やマン・マネジメント、神通力もバッチリ機能していた。
中盤ではジョルジニオ・ワイナルドゥムを軸に、ジョーダン・ヘンダーソン、ジェイムズ・ミルナー、ファビーニョ、ナビ・ケイタといった猛者たちのうち日替わりで3枚を先発させるターンオーバーをほぼ完璧に機能させ、ゲーゲンプレッシングの強度を、シーズン通して高いレベルで維持し続けた。
控え選手に対するケアもパーフェクトで、レギュラーを外されていた選手たちも、みな一様にクロップを信頼し、起用されれば期待に応えた。
アンフィールドのCLバルサ戦での2発が記憶に新しいディボク・オリジはリーグでも12月にエバートンを1-0で下したマージーサイド・ダービー、5月のニューカッスル戦(3-2)で決勝ゴールを挙げ、チームのラッキーボーイになった。ダニエル・スタリッジも同様に、9月のチェルシー戦で敗色濃厚だった89分にスーパーなミドルを突き刺して、チームを1-1の引き分けに導いたシーンが強く印象に残っている。
チーム全員が“家族”となった。
ジェルダン・シャキリもまた、3トップに次ぐ“第4の男”としてピッチに立てば縦横無尽にチームのために駆け回った。12月のマンチェスター・ユナイテッド戦(ジョゼ・モウリーニョが解任された試合)で交代出場から2ゴールを挙げ、3-1の勝利に貢献した姿は本当に勇ましかった。
彼はシーズン後半戦になるとさらに出番を減らすことになったのだが、それでも4月のチェルシー戦では、ベンチに座らされていて鬱憤も溜まっていたはずだろうに、サラーがゴールを決めるとベンチでクロップと熱い抱擁を交わし、心から仲間のゴールを喜んでいた姿をよく覚えている。
稀代の熱血漢であるクロップの下、リバプールは控え選手も含めて本当にひとつになっていたし、もっと言えば彼らを支えるスタッフ、常にともに戦ってきたアンフィールドのファンも含めて、チームの枠を超えたひとつの“家族”となり、優勝という目標を見据えてひた走っていたのだ。