ビッグマッチ・インサイドBACK NUMBER
ペップがバルサと並び最強と称えた!
勝ち点97で2位、リバプールの偉業。
text by
寺沢薫Kaoru Terasawa
photograph byAFLO
posted2019/05/13 11:40
プレミアリーグでの優勝はまたしてもならなかった。しかしクロップ監督(右)やアーノルドらの表情からは、チームの充実ぶりが分かる。
マンCのラスト14連勝を導いた。
そんな彼らを見て、クロップにとって永遠のライバルであるペップもこう言っていた。
「監督としてこれまでに素晴らしいチームと戦ってきたが、その中でも驚くべきチームがふたつある。ネイマール、(リオネル・)メッシ、(ルイス・)スアレスを前線に擁していたルイス・エンリケのバルセロナ。そして今回のリバプールだ。
彼らは私が対戦してきた中でも最強のチームのひとつだ。あらゆるものを持っている。いい戦術、強力なディフェンス、優れたハイプレス、それに素晴らしいカウンターアタックだ」
優勝を決めた後にも、ペップは「リバプールが我々のスタンダードを押し上げ、高めてくれた」ことに感謝の意を述べている。「リバプールがラスト2カ月で1ポイントも落とすことはない」と確信していたから、自分たちも14連勝という破竹の連勝でシーズンを終えられたのだと考えている。
皮肉なことだが、圧倒的な強さを見せつけて連覇を達成し、黄金時代に突入した感があるシティを形作ったのは、こちらも鮮烈な強さを見せて対抗したリバプールでもあったのだ。そういう意味でも、今季のプレミアリーグを面白くしたのは、間違いなくリバプールだった。
「リバプール史上最高のチームだ」
かくしてリバプールは、クラブにとって29年ぶり、プレミアリーグになってからは初となるリーグタイトルを獲得する千載一遇のチャンスを逃した。
フェルナンド・トーレスとスティーブン・ジェラードが名コンビを組んだ2008-09シーズンや、ルイス・スアレスが大爆発した2013-14シーズンも優勝争いを演じながらも2位で終わった。その過去2回と比べても今回はよりトロフィーに深く手をかけていたから、喪失感は計り知れないものがあるだろう。
だが、クロップは落胆した様子も見せず、毅然とした態度でこう言った。
「このチームはリバプール史上最高のチームだ。だが、まだ進歩と改善は終わっていない。これはまだ最初のトライだ。我々は大きな一歩を踏み出したばかりなんだ。人生で訪れるチャンスは1回きりじゃない」
自信を持ってそう言えるだけの輝きを、たしかに今季のリバプールは放っていた。その輝きはリーグのトロフィーで報われることはなかったが、決して色あせることはない。
来季のプレミアリーグでも、リバプールとアンフィールドのファンは、勝利を、タイトルを決して諦めないはずだ。