ビッグマッチ・インサイドBACK NUMBER
ペップがバルサと並び最強と称えた!
勝ち点97で2位、リバプールの偉業。
text by
寺沢薫Kaoru Terasawa
photograph byAFLO
posted2019/05/13 11:40
プレミアリーグでの優勝はまたしてもならなかった。しかしクロップ監督(右)やアーノルドらの表情からは、チームの充実ぶりが分かる。
敗因があるとすれば7つのドロー。
だが、それでも目標には手が届かなかった。
冒頭に挙げた勝ち点「97」は、プレミアリーグ過去26シーズンの歴史を振り返っても、うち25の優勝チームより高い数字だった。リーグ歴代3位の勝ち点数で、過去にこれよりポイントを多く稼いだチームは2つしか存在しない。
そう、昨季(100)と今季(98)のマンチェスター・シティである。もうこれは、時代が悪かったとしか言いようがない。
ただ、ほぼ文句なしのシーズンの中であえて紙一重の勝負を分けた敗因を探すなら、「7分け」という数字だろうか。
結果論だが、7つのドローをひとつでも勝ちに結び付けられていたら結果は変わっていたわけで、うちビッグ6対決だったチェルシー戦(1-1)、シティ戦(0-0)、アーセナル戦(1-1)、ユナイテッド戦(0-0)やエバートンとのダービー(0-0)といったビッグマッチはともかく1、2月のレスター戦(1-1)とウェストハム戦(1-1)の“小休止”はもったいなかった。
2試合続けて先制しながらも追いつかれたこの連続ドローで、当時は追う立場だったシティに付け入る隙を与えてしまった感は否めない。
シーズン9連勝で締めくくった意味。
レスター戦の直前に、リバプールはドバイでトレーニングキャンプを張っている。年末年始の過密スケジュールを抜けた後、負荷をかけたために疲労が出てしまったのかもしれない。それはシーズン終盤まで戦い抜くために必要だと判断した上での負荷で、一時的に調子が落ちるのは想定の範囲内だった可能性もある。
ただその判断が間違っていたとも言い切れないのが難しいところだ。実際、今季のリバプールは終盤になっても過去のように“足”が落ちることなく、最後は9連勝(17試合負けなし)でシーズンを締めくくったのだから。
ともかく、今季のリバプールが、一戦一戦をこなすごとに成長していくさまや、守備のもろさや取りこぼしの懸念といった弱点を日々克服しながら勝ち星を重ねて首位を争っていく様子は、見ていて本当にスリリングだった。それは間違いない。