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大怪我を克服した「ヒガシのクリロナ」。
神戸FW増山が覚えた身体の使い方。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTakahito Ando

posted2019/04/28 07:00

大怪我を克服した「ヒガシのクリロナ」。神戸FW増山が覚えた身体の使い方。<Number Web> photograph by Takahito Ando

大怪我から復帰を果たしたFW増山朝陽。躍動感あるドリブルを、プロのピッチでも見せることができるか。

長いリハビリ、走り方も変わった。

 ピンポイントの筋力強化、ファンクショナル系のトレーニングなどを取り入れ、身体操作能力、自己制御能力を磨く日々。自らの身体と会話をしながら、慎重にリハビリを繰り返してきた。

 その成果もあり、4月10日ルヴァンカップの大分トリニータ戦で、実践復帰を果たした。途中出場ではあったが、約8カ月ぶりの公式戦だった。

 そして、迎えた20日のJ1第8節浦和レッズ戦。76分、FW小川慶治朗に代わってリーグ戦復帰を飾ると、積極的な仕掛けと鋭いターン、抜群のスピードを見せつけた。87分にはドリブル突破から相手のファールを誘ってFKを獲得。わずか14分間の短い時間だったが、攻撃を活性化させた。

「これまでは自分の身体能力に頼りすぎていた。プロになり、筋力もついて、よりスピードが出せるようになったからこそ、その反動で使い方が雑になってしまっていた。

 走り方もこれまでは背筋を使って、背骨が反っているイメージだったけど、それがなくなってきたし、大臀筋を意識的に鍛えて、お尻を使って足を運ぶイメージを持つようになりました。膝周りの筋肉もそうだし、地面を蹴る時の足裏の使い方もトレーニングしています。足の裏でしっかりと地面をつかんで蹴り出す。全体で掴んで、足の裏全部で地面を噛んでからパワーを出す。

 意欲的にそういったことを取り組むようになって、徐々にボディーバランスも良くなってきたと思います」

C・ロナウド、そして“VIP”から学んだこと。

 増山朝陽はプロ5年目、22歳にしてようやく“プロ仕様”になってきた。そんな彼に改めて「クリロナ」について聞いてみた。

「改めてロナウドは凄いなと思いますね。高校時代は、クリロナといえば、なんでもゴリゴリに仕掛けるイメージ。そこを見習っていたのですが、プロになってからじっくり見てみると、そうではなかった。

 ボールのないところでの駆け引きが凄くて、オフ・ザ・ボールの動きが細かい。どれだけポジショニングで見つけたスペースに最短距離で走り込めるか、ゴールに近づけるか相手を見てやっているし、駆け引きをしながら動き直しを何度もして点を取っている。それを可能にしているのが、やっぱり身体のコントロールですよね。自分の身体能力に適した動きをしている。

 ルーカス(ポドルスキ)、ビジャ、イニエスタを見ていても、自分の身体的特徴をしっかりと把握した上で、活用しているのは感じる。それこそ僕がもっと学ばないといけないこと。そういう意味で、日に日に良くなっていると実感するので、これからもっとサッカー選手としての価値を高めて、成長をしていきたい」

 日本には増山のような身体能力を持つ選手は珍しく、希少価値が高いと思っている。だからこそ、彼が自分をコントロールする力を身につけたとき、覚醒を意味する。

 2つの大怪我はプロとして過ごす上で、重要なことを気づかせてくれた。ここから、増山の真価が問われる。

「ヒガシのクリロナ」と呼ばれた青年は、「ヴィッセルのクリロナ」、いや、「日本のクリロナ」として成長していくのか。それはすべて彼次第にある――。

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