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2年連続で下位に低迷するガンバ。
宮本監督の重い言葉とチームの病巣。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byGetty Images
posted2019/04/26 11:30
圧倒的な攻撃力を誇った頃のガンバは個性がぶつかりあっていた。今の選手たちは、どうか。
宮本監督「少しおとなしすぎる」
もちろん、サッカーにおいて審判は絶対である。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)システムを導入していないJリーグにおいて、時に微妙な判定が下されるのはやむを得ないことでもある。しかし、ワンプレーや勝利に対する執着の少なさが、今のガンバが抱える問題に見えてならないのである。
「見ていてもどかしさもあるし、キャンプ中の練習試合でも同じようなことがあった。うちのチームがずっと持っているキャラクターというか、少しおとなしすぎるきらいもあるし、もっと声を荒げるようなシーンがあってもいい」
浦和レッズ戦後、こう話したのは宮本監督だ。
良くも悪くも淡々とプレーする選手が多いガンバだが、タイトル争いを演じてきた時代には必ずと言っていいほど、チームを引き締める「嫌われ役」が存在した。西野朗監督が率いた当時は、現在ヘッドコーチを務める山口智が最後尾から緩いプレーに目を光らせ、長谷川健太監督の時代には岩下敬輔(現サガン鳥栖)がチームにガッツをもたらしてきた。
現在はそんなチームリーダーの不在がピッチ内の成績にも反映していると言えるだろう。
「心の隙」があるのではないか。
序盤の失点癖は今年のガンバが抱える課題の1つだが、2-3で競り負けた横浜F・マリノス戦後にある主力が口にした言葉に、思わず耳を疑った。
「試合の入りが緩かった」
昨年はシーズン終盤にクラブタイ記録となる9連勝をマークしたが、絶体絶命の状況に追い込まれていた残留争いの危機感は、どこに行ったのか。
「もっとお互いが要求しあって、喧嘩してもいいと思う。ひとりひとりがもっと何とかするという姿勢を見せないとチームは変わっていかないし、ズルズルと行ってしまう気配もある」(東口)
手薄なポジションへのテコ入れも不可欠ではあるが、まず、ガンバに必要なのは選手の意識改革である。
0-3で敗れたサンフレッチェ広島戦後、宮本監督が口にした言葉は実に重いものだった。
「自分たちはタイトルを取ったことがあるチームだというような心の隙というか、そういうものがあるように思う」
一人歩きしている感があるスローガンに拘泥することなく、指揮官はすでに現実的な戦いを見据えている。