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2年連続で下位に低迷するガンバ。
宮本監督の重い言葉とチームの病巣。

posted2019/04/26 11:30

 
2年連続で下位に低迷するガンバ。宮本監督の重い言葉とチームの病巣。<Number Web> photograph by Getty Images

圧倒的な攻撃力を誇った頃のガンバは個性がぶつかりあっていた。今の選手たちは、どうか。

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下薗昌記

下薗昌記Masaki Shimozono

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 昨年は「奪還」、そして今年は「GAMBAISM(ガンバイズム)」をチームスローガンに掲げるガンバ大阪。しかし、2年連続でシーズン早々にスローガンを放棄するような足取りが続いている。

 近年、補強ではなく「補充」に終始しているフロントの見通しの甘さについては、これまでに何度も拙稿の中で指摘してきた。

 4月14日の浦和レッズ戦で0-1と惜敗。就任後、初となるリーグ戦3連敗を喫した直後の会見で、宮本恒靖監督は世代交代をめぐる悩みを、こう口にした。

「そこのポジション(ボランチ)に関しては、今に始まったことでなく、ガンバがここ数年抱える、どうして行くんだという部分だと思う」

 長谷川体制の終盤は点取り屋不足に泣き、レヴィー ・クルピ前監督もまた、手薄なボランチの陣容に苦しんだ。そして、クラブのレジェンドでもある宮本監督もまた、万全とは言えないバックアップ体制の中で、苦悩のチーム作りを続けているのだ。

 8節を終えたガンバの立ち位置は15位。何らかの歯車が狂えば、予期せぬ低迷を強いられることはサッカー界において珍しい事柄ではないが、2年連続での低迷はチームの地盤沈下によるものだ。

「いい子ちゃんで勝てるほど……」

 まだシーズン序盤ではあるが、ひたひたと迫り来る降格圏転落の危機――。

 フロントだけではない。ピッチに立つ選手もまた、甘さを見せているからこそ、ホームで4敗1分けという数字が残っていると言わざるを得ないだろう。

 チームに巣食う一番の病巣は「負のGAMBAISM」である。

「ガンバの選手はおとなしいという部分はあるけど、いい子ちゃんサッカーで勝てるほど甘くはない」

 浦和レッズ戦後、守護神の東口順昭は、あえて厳しい言葉を口にした。

「いい子ちゃんサッカー」が、その顔をのぞかせたのは浦和レッズ戦のひとコマだ。スコアレスで拮抗していた後半42分、CKのこぼれ球をエヴェルトンに蹴り込まれ、決勝点を献上したガンバだが、シュートの瞬間、オフサイドポジションに立っていた興梠慎三の関与をめぐって、東口とゲームキャプテンの三浦弦太が飯田淳平主審に詰め寄った。

 試合終了のホイッスルと同時に、東口と三浦、キム・ヨングォンは再び飯田主審の元に駆け寄ったが、多くの選手は怒りを見せる様子もなかった。

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