ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
栗山監督に手渡した1枚の記事。
日本ハム元オーナーが残したもの。
posted2019/04/26 11:00
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph by
Michifumi Takayama
3つの数字には秘めた、無数の思いがある。
北海道日本ハムファイターズの起源である。
大社啓二(おおこそ・ひろじ)氏――。近しい人は、大社さんと呼ぶ。以下、敬称略で記す。
大社さんは3月に開かれた球団取締役会をもって、取締役を退任した。
4月23日、札幌ドーム。東北楽天ゴールデンイーグルス戦を控えた練習前の午後1時30分だった。マウンドを中心にスタッフ、選手全員が集結した。球場敷地内にある事務所から職員らも業務の手を止め、駆けつけた。
退任に際し「身内」だけのささやかなセレモニーを催した。フィナーレの胴上げを含め、約10分間。感謝を皆で、詰め込んで送り出したのである。
プレゼントした背番号「101」。
厳かだった。空気は、凛としていた。挨拶に立った大社さんは、汗を額に浮かべていた。いつもスマートな立ち居振る舞いをされる人にしては、珍しい。チームからは記念品として、ユニホームをプレゼントした。
背番号を「101」に、選定した。
日本ハムの創業者で初代オーナー、故大社義規氏。野球殿堂入りしているレジェンドは、球団唯一の永久欠番「100」を有す。社業、球団の後継者でもあった大社さんへは、数字が1つ多い背番号を預けた。
隠したメッセージがある。
背番号「101」の選者は、編成トップでチーム統轄本部長を兼任する吉村浩ゼネラルマネジャー(GM)である。
数字の並びによる単純な読みではなく「101」を、英語で「ワン・オー・ワン」であると、教えてもらった。そこに宿した意味を、解説してもらった。
「ファイターズは皆、大社さんの精神に学び、習い続ける」
アメリカの大学の講義の入門、基礎などを「ワン・オー・ワン」という。
隠してあるが「101」の真意は、そこである。リーダーとして在りし日の大社さんを偲び、未来へと進むことをあらためて誓った1日だったのである。