大社さんが示した「道しるべ」。

　大社さんと、株式会社・北海道ボールパーク（HBP）の島田利正取締役――。

　島田取締役は、昨年3月に退任した前球団代表である。現在は新球場建設構想を進めるHBPに籍を置く。東京ドームが本拠地だった日本ハムファイターズ時代は、主に通訳と渉外などを務めていた。2004年の北海道日本ハムファイターズ誕生に備え、移転準備室などへと配属された。

　大社さんに見出され、球団の数々の要職を歴任し、日本ハムファイターズから北海道日本ハムファイターズへの激動を、伴走してきた1人である。

　島田取締役は、思い出す。

「大社さんは『道しるべ』でした。あの人がいなかったら、今のファイターズはない。当時、東京ドームから離れるという発想も、生まれてなかったでしょう。事業とチームを分け、GM制度の必要性を理解し、外国人監督……。本当に『道しるべ』でした。移転も含め、私に対してもですが、すべての決断に勇気がありました」

求めたのは「意見を言ってくれる人」。

　東京を本拠にした通訳時代。業務提携先のヤンキースでの研修から戻り、レポートをしたためた。そこに日米の球団運営の違いを明示し、東京からの移転の必要性を記したという。後日、大社さんに説明を求められる機会があったという。

　当時、大社さんは「親会社」である日本ハム本社の社長だった。社長が「子会社」とも称される球団の通訳と、ひざとひざを突き合わせてくれたことに驚いたという。

　近年、交わした1つの言葉が鮮明に記憶に残っている。大社さんは、トップとしてのポリシーをこう明かしてくれたそうである。

「私は優秀じゃないから、周りにしっかりと意見を言ってくれる人たちを置きたい。自分が間違っている時は、ちゃんと意見を言ってくれる人を置きたい」

　心に刻んで今、大社さんの夢でもあった新球場建設へと邁進している。

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